2022 Fiscal Year Annual Research Report
画像と病理の対比に基づいた唾液腺腫瘍の包括的診断フロー構築
Project/Area Number |
19K08092
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀越 琢郎 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50456068)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / MRI / 深層学習 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺腫瘍のMRI画像による良悪性診断を、どのような医師でも高い精度で行っていくために、人工知能を用いた画像診断の研究を行った。MRIを撮影し、手術にて良悪性が判明している症例212例を用い、182例を学習用データ、30例をテストデータとした。MRI画像のうち脂肪抑制T2強調像、ADC map, ダイナミックMRIを用いた。それぞれの撮影の各スライスについて、頭頸部専門の放射線科専門医が腫瘍を領域設定した。さらに解像度の統一や位置合わせ、ROIの統一などの前処理を行った後に、深層学習を行った。深層学習は畳み込みネットワークを用いた。唾液腺腫瘍の画像はサイズが小さく複雑であり、層を深くすると特徴量が消失してしまうために、畳み込み2層の浅いモデルを用いたネットワークとした。まず一つの撮影で学習した場合と、3つ全ての撮影で学習した場合で検討したが、3つすべての撮影を用いた学習(感度93%、特異度87%、正診率87%)の方が、よい正診率を得た。これは放射線科専門医による診断(感度80%、特異度73%、正診率77%)よりも良好な結果であった。各撮影での検討でダイナミックMRIでの正診率が低いことが判明したため、脂肪抑制T2強調像、ADC mapのみで学習したみたところ、感度93%、特異度100%、正診率97%とさらに良好な結果を得た。さらに、3つの撮影での各スライスでの関連性を生かすために、それぞれのスライスでチャンネル方向に重ねるという手法を用いて、学習を行った。結果は感度100%、特異度87%、正診率93%であり、感度は良好であったが、正診率はやや下がる結果となった。良悪性診断については、人工知能の大きな可能性が示された。ダイナミックMRIについては、良悪性診断には寄与しないという結果であり、拡散強調像が撮影されているのであれば、造影検査が不必要であるという可能性も示唆された。
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