2019 Fiscal Year Research-status Report
個別化医療を志向したがんに選択的なチミジンホスホリラーゼイメージング技術の開発
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19K08105
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
秋澤 宏行 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90311795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宿里 充穗 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (20525571)
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
趙 松吉 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80374239)
尾江 悟 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (90756107)
水野 雄貴 昭和薬科大学, 薬学部, 特任助教 (90805194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 核医学診断 / がん / 治療効果予測 / 5-フルオロウラシル / イメージング剤 / チミジンホスホリラーゼ / 有機カチオントランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
私達は以前、5-フルオロウラシル系抗がん剤の治療効果予測を目的とし、チミジンホスホリラーゼ(TP)の核医学イメージング剤としてIIMUを開発した。しかし、IIMUは正常な肝臓に集積することが問題となる。そこで本研究では、①生物学的手法と②化学的手法により、がん選択的なTP核医学イメージング技術を開発することを目的とする。 ①生物学的手法では、肝細胞とがん細胞におけるIIMUの取り込みと排出に関わるトランスポーターの解明とその制御により、IIMUのがん選択的集積性の向上を目指す。令和元年度はまず、有機カチオントランスポーター(OCT)の関与について検討した。OCTサブタイプ1(OCT1)またはOCTサブタイプ2(OCT2)を高発現する細胞を用いた検討から、IIMUの取り込み過程の一部にはOCTが関与し、OCT2よりもOCT1の寄与が大きいことが示唆された。次に、OCT発現量とTP発現量の異なる4種類のがん細胞を用いてIIMUの取り込みを検討した。その結果、OCT発現量が低い細胞と比べ、比較的高い細胞ではIIMUの取り込みが高いことが認められ、このことからもOCTがIIMUの取り込みに関与することが示唆された。一方で、OCT発現の低い細胞において、OCT阻害剤によるIIMUの取り込み阻害が認められた。用いた阻害剤はOCT以外のトランスポーターも阻害することから、IIMUの取り込みに関与するトランスポーターはOCTのみではないことが示唆された。 ②化学的手法では、IIMUとは異なるトランスポーターに認識されるために、肝臓に集まりにくく、がんにより選択的に集積するTPイメージング剤の開発を目指す。令和元年度は、ピリミジン核酸塩基に類似するIIMUとは異なり、プリンに類似した構造を持つ既報のTP阻害剤について、放射性ヨウ素標識体の合成を試みた。しかし、目的物を得るには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた実験の1つについて、合成が難航し、目的物を得ることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、①生物学的手法に基づく検討については、前年度に引き続き、既存のTP標的イメージング剤IIMUについて、肝臓での取り込みと排出に関わるトランスポーターの探索を行い、さらに、トランスポーター阻害剤がIIMUの肝臓とがんでの取り込みと排出に及ぼす影響をin vitroで評価する。関与するトランスポーターを絞り込めた時点で、in vivoでの検討も開始する。②化学的手法に基づく検討については、引き続き、新しいTPイメージング剤の合成を行う。合成が難航していることから、年度初めは、まず②に注力する。合成が終了し次第、そのTP阻害活性とTP依存的集積性の評価を行う。
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