2019 Fiscal Year Research-status Report
Development and evaluation of fast three-dimensional laser scanning and thermo-tracking device for patient body surface monitoring.
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19K08107
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
林 直樹 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00549884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 啓祐 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (50804514)
浅田 恭生 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (60308848)
森 慎一郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 物理工学部, グループリーダー(定常) (60415403)
武村 哲浩 金沢大学, 保健学系, 教授 (70313674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 体表監視 / 温熱監視 / 位置認識精度 / 放射線治療 / 放射線治療計画 / 呼吸性移動監視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、三次元レーザスキャン技術とサーモグラフィ機能を統合させた新しい体表面監視装置を開発し、臨床応用を目指すことである。レーザスキャン技術とサーモグラフィ機能を統合することにより、患者が固定具や着衣をしている状態でも放射線治療室内の明度に依存せずに精密な位置監視および呼吸監視が可能である。また、この装置は検出器部分が架台部分に着脱可能なシステムを想定している。これにより、CTシミュレーション時や放射線治療時に天井設置と寝台設置のいずれかも状況に合わせて選択することができる。この装置は医薬品医療機器等法の範疇であり、臨床導入前に安全と精度を確保するための十分な試験が必要となる。今回の研究期間では、新しく開発する体表面監視機構の品質・有効性及び安全性の確保に関する事項を評価し、多職種連携チームで実施を予定する発展研究へ橋渡しするためのデータを集積する。研究期間の1年目では、レーザスキャン型表面監視システムとサーモグラフィを組み合わせた体表監視システムを想定し、位置認識能や座標の一致性に関する基礎評価、すなわち三次元レーザスキャン機構の開発、熱監視による追跡システムの開発、超高速体表位置観測アルゴリズムの開発、非剛体レジストレーションアルゴリズムの開発を実施した。基礎実験として三次元スキャンシステムと熱監視システムを結合したプロトタイプシステムによって模擬ファントムのスキャンを行った。その結果、レーザスキャンシステムとサーモグラフィシステムの位置認識正確度および一致性は、5mm以内であることを確認した。しかしながら、年度末においては新型コロナウィルス感染拡大防止のために実地での実験はできなかったため、ラボベースでのシミュレーションが基本となった。2020年度においては実験結果を基にしてさらなる最適化を図る必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画における1年目においては、体表面の監視と温熱監視を結合させたシステムを臨床応用するために、模擬システムとファントムを用いた物理的な実験を行った。具体的には、2019年度において三次元レーザスキャン機構の開発、熱監視による追跡システムの開発、超高速体表位置観測アルゴリズムの開発、非剛体レジストレーションアルゴリズムの開発を実施した。三次元レーザスキャンシステムは、赤色レーザを二方向からスリット操作をしてそれを単一のカメラで受光するシステムを考案した。その観測データを三角測量の原理で位置認識をするものである。熱監視追跡としてCCDカメラを用いたサーモグラフィシステムを利用した。この三次元スキャンシステムと熱監視システムを結合したプロトタイプシステムによって模擬ファントムのスキャンを行った。今回は体表温度を精密に再現できるファントムではないためにサーモグラフィの体表温度再現性などは評価できなかったが、レーザスキャンシステムとサーモグラフィシステムの位置認識正確度および一致性は、5mm以内であることを確認した。この数値は定位的照射を実施するには安全と言えるものではないが、プロトタイプでの評価および胸部の照射(特に乳房照射)を想定していることを鑑みると現段階では十分なものであると判定した。体表位置観測アルゴリズムの開発のために、新しいワークステーションを購入し、研究分担者によりその開発が実施されている。非剛体レジストレーションについてはB-Splineによるレジストレーションを想定し、研究分担者により開発が実施されている。当初考案した3カ年の研究計画に則るとこの進行度は予定通りであり。研究は概ね順調に進展していると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
3カ年研究計画の1年目については主に研究室ベースでの開発とシミュレーション、およびファントムを用いた基礎データの計測であり、想定どおりに研究は進行しており順調と言える。しかしながら、2019年度末から2020年度初頭にかけて新型コロナウィルスによる感染拡大の影響を受け、共同研究施設への立ち入りや共同研究者との会議が予定どおりに実施できない状況にある。必要な場合はウェブシステムを用いたウェブ会議により意見交換を行うことができるが、実験研究に関する打ち合わせや研究施設における臨機応変な対応はできない状況にあることから、今後一定期間に研究の進行遅れが発生することが懸念される。しかしながら1年目の研究成果を鑑みて、さらなるシミュレーションが必要なことがわかったことからラボベースでの研究開発を継続して行い、盤石な体制で実証実験に臨めるよう調整したい。また、2019年度の研究発表を米国医学物理学会で発表と国際的に研究者と意見交換をする予定であったが、これが中止となり、討議できなかった。しかしながら、2020年度上半期までの研究成果をまとめ、アジアオセアニア医学物理学術会議にて発表を行えるように調整を図たい。また2020年度中には呼吸性移動を反映するファントムを用いた計測を実施する予定であり、そのデータを元に最適監視位置推定システムを開発する予定であるが、2020年5月の段階で実証実験を行う目処が立っていないためこれについても調整を図る必要がある。いずれにしても、開発のための物品のサプライチェーンや実験実施施設の稼働状況をみながら調整を図りたい。
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Causes of Carryover |
2019年度の末に実施する予定であった研究連絡会議および実証実験が新型コロナウィルス感染症の感染拡大に対する国の方策のために、不要不急の外出を控えるように促され、研究機関の実行自粛および医療機関における実験停止と言う事態に陥った。そのため、これらの予定を2020年度半ばに移行し、それまではラボベースでの研究開発に従事すると言うことになった。2019年度に遂行できなかった研究費の残額はこの事業の実費分相当にあたるため、計画が遂行されれば研究費が過剰に余ると言うことはなく、適正に利用ができると考えられる。
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