2019 Fiscal Year Research-status Report
Radiosensitization of gold nanoparticles on animal models with enhanced delivery using ultrasonic stimulation
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19K08112
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三澤 雅樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60358083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 尚隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60392643)
松本 孔貴 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (70510395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金ナノ粒子 / X線 / 放射線治療 / 活性酸素 / 超音波 / パイロトーシス / 炎症性サイトカイン / 細胞障害性分子パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
約200㎎/mLの超高濃度疎水性5nm金ナノ粒子表面を、アルカンチオールで修飾して親水化し、PEG修飾することによって、PBSや培養液などの塩存在下で安定分散する5nm金コロイドを合成した。また、塩化金のクエン酸還元により金ナノ粒子を合成し、PEG修飾して平均サイズ26nm金コロイド溶液を調整した。近赤外プローブCy5.5(Ex.680nm, Em.710nm)を標識した抗EGFR抗体を、PEG末端のNHSエステル基を介して接合することで、メラノーマ等に高発現するEGFRを標的とし、近赤外プローブでin vivo imaging可能な金ナノ粒子を設計合成した。また、685nmの半導体レーザービームを凹レンズで拡大し、710nmのロングパスフィルタを設置した高感度CMOSカメラでin vivo 観察系を構築して、ITおよびIVにて金ナノ粒子増感剤投与後の体内動態と腫瘍集積を評価した。 B16メラノーマを大腿部に播種した担がんマウスを作製し、金ナノ粒子増感剤を腫瘍周囲または腫瘍内部に投与した。予め、濃度を変えた寒天培地内で、超音波照射時の金コロイド拡散を観察し、診断レベルの数倍の強度で金コロイド拡散が促進されることを確認した。その後、投与部位または腫瘍に対して集束超音波を照射し、金ナノ粒子の体内拡散亢進、腫瘍浸透性亢進を試みた。同時に、Western解析から、X線照射下の金ナノ粒子で生成される活性酸素が、細胞障害性分子パターン(DAMPs)放出によって、炎症性プログラム細胞死(Pyrotosis)を示すNLRP3インフラマソーム形成を示唆する結果(ASC、Caspase-1、IL-1β等)を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H31年度計画していた高濃度金ナノ粒子合成および抗体修飾による標的指向設計、in vivo imaging のための近赤外プローブ修飾までを計画通り遂行できた。特に、高濃度親水性5nm金ナノ粒子合成において、アルカンチオールのアルキル基長さ、PEG長さ、末端官能基による凝集状態の違いを明らかにすることができた。これらのパラメータを変えることにより、塩環境でのPEGを介した凝集状態を制御できることが、DLS測定および高分解能TEM観察から明らかになった。電解質の生理環境下では、金ナノ1次粒子が単分散することはできず、常に凝集体として分布しており、これらが細胞内取り込みや腫瘍集積に影響を与えると推察される。また、集束超音波と放射線を照射した動物実験の結果から、炎症性サイトカイン産生が優位に上昇し、パイロトーシスによる腫瘍細胞のプログラム細胞死が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
金ナノ粒子の腫瘍集積、腫瘍細胞取り込みを高めるために、粒子設計パラメータをさらに最適化する。具体的には、PEG長さ、抗体接合等を調整することで、凝集状態を制御し、腫瘍浸透性を高める設計を行う。また、超音波の強度、IV投与する位置、照射方向、照射時間を調整し、凝集体と超音波の相互作用が高まる条件を探索する。金ナノ粒子の間隔が小さくなると、発生する光電子が連鎖的に近傍の金ナノ粒子を励起する連鎖反応も期待できる。今回、インフラマソーム形成を示唆する結果が得られたので、放射線によるがん細胞損傷に加えて、細胞障害性分子パターンを認識させて自然免疫系を誘導する放射線腫瘍免疫誘導についても検討する。
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Causes of Carryover |
Western Blot解析において、抗体量を最小限に抑えた。また、外注予定の分析を、組織内の装置を活用して、自分で測定したため、次年度使用額が生じた。来年度は、より多くのパラメータでの実験、統計精度の高い実験を予定している。
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