2021 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental study on improvement of micro-angiography system using synchrotron radiation
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19K08136
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
兵藤 一行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (60201729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 千穂 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30451701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射光 / 放射光単色X線 / 放射光X線イメージング / 血管造影検査 / 微小血管造影検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、放射光単色X線による微小血管造影検査において、より最適なX線光学素子開発に関する知見を得ることが目的である。X線検出器や加速器等の開発動向を考慮しながら、将来の臨床応用も考慮した検討を実施してきた。今年度は、昨年度に引き続いて最適なX線光学素子の物理的特性を検討するための放射光利用評価実験を最新の各種X線検出器(CMOSカメラ)を用いて実施した。この評価実験は放射光微小血管造影システムの総合的な物理的特性を定量的に評価するための各種ファントーム、研究目的別のモデル小動物等を用いて縦偏光・縦長放射光ビームが得られる世界で唯一の放射光実験施設ビームライン:BL-14で実施した。横方向の放射光ビームサイズをX線光学素子の非対称反射を用いて拡大することで二次元X線照射野を得ることができるとともに、X線光学素子、試料、X線検出器を同一平面内に設置できる実験遂行上の大きな利点がある。また、X線発光点の電子ビームサイズは相対的に縦方向が小さく、X線イメージングにおけるX線発光点、被写体、X線検出器間の幾何学的配置において相対的に縦方向の画像空間分解能が優れることも大きな特長であり、このことに関する定量的な評価実験も実施した。また、得られる単色X線積分反射強度がより大きなX線光学素子の開発について具体的な物理パラメータの検討とシュミレーション実験および目的とする画像情報抽出のための画像処理アルゴリズムの開発を引き続き実施した。さらに特殊なX線発生装置を利用したイメージング法に関する基礎的評価実験の解析を実施した。このX線発生装置は複数のX線発光点があり試料のステレオ撮影やトモシンセシス撮影が実現でき、微小血管造影検査に用いることも可能であろうと期待される。今年度に得られた実験結果や実験データの解析により、今後の研究推進に関して有用な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微小血管造影検査に最適なX線光学素子の物理的パラメータに関する知見を複数の最新型X線検出器を利用して医学用ファントームや目的別のモデル小動物試料により実験的に得ることができるとともに、シュミレーション実験によって物理的パラメータを評価することができた。また、得られたX線画像の画像解析により、実験結果を定量的に評価することもできた。さらに将来的には微小血管造影検査にも利用できると考えられる特殊なX線発生装置(ハーバード大学)を用いた基礎的評価実験結果の解析を実施した。X線発生装置を利用する応用研究は、放射光X線を用いたX線イメージング法で得られた知見の社会への還元にも繋がると考えている。今年度は感染症対策のため、実験を予定していた動物生体試料を用いる実験の一部が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの放射光利用実験結果と実験データ解析結果を考慮しながら、引き続き、放射光を用いた評価実験を実施する予定である。特に今年度は、目的別(心臓血管系、肺血管系、腎臓血管系など)のモデル小動物試料によって、医学的観点からの評価実験を実施する予定である。それらの実験結果や現在までの実験データの各種解析結果を考慮して、本研究の最終年度として研究推進に関する全体のまとめをする予定である。
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Causes of Carryover |
感染症対策のため実験を予定していた動物生体試料を用いる放射光利用実験の一部が実施できなかった。また、研究代表者の病気休暇、研究分担者の所属変更に伴う対応、コロナ禍での社会的状況によってX線光学素子製作検討が遅れたことが原因で次年度使用額が「0」より大きくなった。今後、動物生体試料を用いる放射光利用実験による評価研究、X線光学素子の開発に関する研究など、計画されていたことを実施する予定である。
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Research Products
(3 results)