2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of PET tracers for the imaging of microglial cells and their activities
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19K08139
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
加藤 孝一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 室長 (50382198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊本 卓哉 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (50292678)
原田 龍一 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60735455)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PET / ミクログリア / プリン受容体 / 髄鞘化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では活性化ミクログリアの活動と、それに伴う神経構造の変化を画像化することが、神経変性疾患の進行・悪化の分子基盤の解明に寄与すると考え、プリン受容体P2X7Rおよび髄鞘化の変化に対するPETトレーサーの開発を行う。 令和元年度は髄鞘化のトレーサー候補化合物となるClick1およびClick2を含む種々のトリアゾール体の合成と、これらの化合物に対するin vitroの評価を行った。トリアゾール体の合成は、それぞれ芳香環に直結したアルキンとアジド化合物に対して、必要に応じて芳香環上の置換基に保護基を施し、銅触媒を利用するクリック反応によりトリアゾール部位を構築して行った。髄鞘への結合阻害試験は、髄鞘含有ホモジネートのサンプルを調整中のため実施できなかった。 アミロイドやタウは髄鞘に含まれる塩基性タンパクと同様なβシート構造を有するタンパク質であることから、今回合成したトリアゾール化合物の髄鞘への特異性を調べる目的でこれらのたんぱく質に対するin vitroの評価も行った。 結合親和性は、アミロイドあるいはタウを含むホモジネートに対し、それぞれFBBおよびMK-6240をリガンドとした結合阻害実験により調べた。その結果、Click1およびMeDASの二化合物についてはアミロイドに強く結合し、Click2はμM以上の濃度においてもアミロイドに結合を示さないことが明らかになった。また、いずれの化合物ともにタウには強い結合親和性を示さなかった。 アミロイドやタウを特異的に画像化することは神経変性疾患を評価する上で重要であり、これまでにいくつかのトレーサーが報告されている。アミロイドの蓄積に伴う炎症反応とミクログリアの活動の関連性が示唆せれていることから、Click1の評価は興味深いものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物の合成は順調に進んでいる。しかし、計画をしていた髄鞘に対するin vitroでの評価ができておらず、この点について本研究の進捗状況は予定していたよりも遅れていると考えられる。一方、Click2がアミロイドおよびタウに結合しないことが明らかとなったため、髄鞘を特異的に画像化する糸口がつかめた可能性がある。さらに、アミロイドに強い結合親和性を示したにClick1は、これまでに知られているアミロイドトレーサーとは異なる化学構造を有しており、これらの化合物のさらなる構造修飾により新規アミロイドトレーサーを開発できる可能性が出てきた。 このように本研究計画は概ね予定通り進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度については、まずこれまでに合成した化合物に対する髄鞘への結合試験の再検討を行う。同時に、アミロイドとタウのいずれにも親和性を示さなかったClick2をリード化合物として、置換基の構造修飾を行い、髄鞘を特異的に画像化するトレーサーを探索する。 さらに、当初の計画になかったアミロイドトレーサーの開発も進める。アミロイドに強く結合した化合物Click1の構造を基に、メチル基を中心としたアルキル置換基の影響を調べアミロイドトレーサーを探索する。得られた最適構造化合物はさらにフルオロアルキル型にする予定である。 ピログルタミン酸アミドはメチル化体を合成し、マウス脳ホモジネートを用いたP2X7Rへの結合阻害により受容体に対する結合親和性を調べる。
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Causes of Carryover |
今年度はin vitroでの評価が遅れた影響で、評価後の実験である標識合成等、放射性化合物を扱う実験を実施できなかった。その結果、標識合成に関連する試薬を購入する機会が生じなかった。 次年度は髄鞘化だけでなくアミロイド等も標的に加えて研究を行う予定であり、合成関連試薬を含めた放射性化合物の取り扱いに関する消耗品の使用が増えることが予想される。関連する試薬、消耗品の購入費用として使用する。
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