2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K08142
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
三浦 富智 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20261456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 宏介 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (50400148)
有吉 健太郎 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50462750)
山城 秀昭 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60612710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射線生物影響 / 慢性炎症 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二つの2型糖尿病モデルマウスに非致死線量のX線を照射し、慢性炎症である「糖尿病」と急性から慢性の炎症を引き起こす「放射線被ばく」の二重ストレスによる糖尿病性病変、白内障、糖代謝機能および消化管障害における相乗的または相加的影響を解析することを目的とした。 そこで、マウスにおける病態対照を得る目的で、2型糖尿病モデルであるB6.Cg-Lepob/J (ob/ob)マウス及び野生型である57BL/6J(B6J)マウスに対し、致死線量(10Gy)のX線を照射し、6日後の初期応答を比較した。マウスの体重減少率はB6Jマウスでは30.35%であるのに対し、ob/obマウスでは8.92%にとどまった。 病理組織学的解析では、脾臓において両系統のマウス同様の白脾髄の損傷が生じ、特に、中心動脈付近での組織障害が顕著であった。また、出血傾向や赤血球浸潤および重度の壊死の兆候を示した。小腸では、B6Jマウスとob/obマウスの両方で、重篤な放射線障害が認められ、絨毛の萎縮と陰窩の喪失、粘液分泌の増加が認められた。肝臓の組織病理学は放射線照射後の両方の系統のマウスで明らかに異なり ob/obマウスでは、グリコーゲンの枯渇や広範なネクローシス病変の周辺に微小空胞変性が認められた。以上、2型糖尿病モデルマウスでは致死線量の放射線被ばく影響が重篤化することが明らかとなった。 さらに、10Gy照射6日後のob/obマウスでは、精巣の顕著な退縮が認められ、精細管内の精子数が著しく減少していた。近年肥満遺伝子Lepob/Jは生殖巣の発達にも関与していることが報告され、2型糖尿病マウスにおける生殖細胞の影響については、異なる系統の疾患モデルを用いる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ob/obマウスのX線照射群では、照射後に顕著な精巣の退縮が生じた。その原因を探るため、時間を要した。ob/obマウスは自然発生疾患モデルマウスであるが、肥満遺伝子Lepob/Jは生殖巣の発達にも関与しており、精巣における番発影響解析に不適切である可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究において、2型糖尿病モデルマウスでは致死線量の初期応答において放射線被ばく影響が重篤化することが明らかとなった。各組織の比較対照が整ったため、今年度はdb/dbマウスを用いた非致死線量のX線照射を行い晩発影響を解析する。 また、初年度は入手が困難であったBKS.Cg-Dock7m+/+Leprdb/Jマウス及びBKS.Cg-m+/m+マウスを確保し、確実な計画の推進に努める。
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Causes of Carryover |
2019年度は一部の疾患モデルマウスの入手が困難だったため、入手可能であったモデルのみの解析を行ったことから、疾患モデルマウス購入費が余剰金として発生した。2020年度に疾患モデルマウスを導入し、確実に実験計画を遂行する。
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Research Products
(1 results)