2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K08142
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
三浦 富智 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 教授 (20261456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 宏介 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (50400148)
有吉 健太郎 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50462750)
山城 秀昭 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60612710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射線生物影響 / 慢性炎症 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二つの2型糖尿病モデルマウスに非致死線量のX線を照射し、慢性炎症である「糖尿病」と急性から慢性の炎症を引き起こす「放射線被ばく」の二重ストレスによる糖尿病性病変、白内障、糖代謝機能および消化管障害における相乗的または相加的影響を解析することを目的とした。本研究課題では、昨年度に2型糖尿病モデルマウスであるob/obマウスを使用したが、ob遺伝子は生殖巣や個体の発達に影響を及ぼすことが報告され本研究への適応は不適切であると考えられた。そこで、BKS.Cg-Dock7m+/+Leprdb/Jマウスを用いた研究へ移行することとした。しかし新型コロナウイルスのパンデミックにより、マウスの輸入が困難となったため、今年度は、解析に必要となる手法の開発を行った。 最初に、放射線影響評価のエンドポイントとして必要となるDNA二本鎖切断に由来する微小核頻度を解析するため、マウス脾細胞およびヒト末梢血を用い、細胞質阻害微小核法を行った。しかし、これまで報告されていた方法では細胞質の破損が生じ、微小核解析の対象となる細胞質が明瞭な二核細胞の頻度が極めて低かった。そこで、本研究において細胞培養後の細胞回収法を変更し、様々な細胞種で実施可能な標本作製法の確立に成功した。 次に、昨年度ob/obマウスで確認されたX線被ばく後の精巣の発達の著しい退縮において精巣内細胞の放射線感受性解析が必要であることが明らかとなったため、精管内細胞の放射線影響を解析するための手法の確立を行った。C57BL/6JマウスにX線を照射し、0~72時間後に精巣を採取し、酵素処理による精細管細胞を分離後、サイトカラシンBを添加して培養した。確立した精細管細胞培養法を用い、X線照射後のマウス精細管における微小核頻度を解析した結果、微小核は72時間後まで経時的に増加し、また、照射線量依存的に増加することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスのパンデミックにより、予定していたマウス系統の入手が困難となった。そこで、本課題の解析項目である、造血系細胞における細胞遺伝学的評価手法の確立と、生殖系列細胞における放射線影響の解析法の確立を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画である、BKS.Cg-Dock7m+/+Leprdb/Jマウスの輸入状況を確認し、速やかに研究計画を実施する。もし、上記系統のマウスの入手が困難であった場合、ob/obマウスを用いた短期的影響を集中して解析し、特に精巣への影響に関する詳細な解析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのパンデミックにより、米国からの疾患モデルマウスの輸入が制限された。そこで、次年度にマウスを購入するため、次年度使用額として確保した。
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