2023 Fiscal Year Research-status Report
肺癌の定位放射線治療における最適な治療計画法の確立に向けた多施設共同臨床研究
Project/Area Number |
19K08158
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
石倉 聡 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40407242)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体幹部定位放射線治療 / 肺癌 / 多施設共同前向き観察研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術不能・手術拒否の非小細胞肺癌の放射線治療において定位放射線治療が新たな標準治療と位置づけられたが、腫瘍に投与される線量には大きな患者間差、施設間差が存在している。研究の核心をなす「問い」は「肺癌の定位放射線治療における最適な治療計画法は何か」である。本研究は、①国際ガイドラインに記載された標準的治療計画法において、腫瘍に投与される線量の許容範囲を規定し、かつ、②多施設共同臨床試験における放射線治療の品質管理・品質保証(QC/QA)プログラムを導入することにより、患者間および施設間のばらつきを最小化した質の高い肺癌の定位放射線治療を行い、これらの有効性と安全性を多施設共同前向き観察研究により評価することを目的とする。 評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、局所無増悪生存期間、局所制御期間、有害事象発生割合等とした。症例数は前向き観察研究であり検証を目的とした統計学的症例数設定は行わないものの、複数の探索的解析を高い信頼度をもって行うため、300例以上を目標とした。本研究結果によりその有効性と安全性が確認されれば新たな標準的治療計画法の確立につながり、その臨床的意義は高い。 本研究は、2018年9月から2023年9月まで症例登録を行った。2023年度は症例登録、経過観察および年1回の追跡調査を行った。COVID-19感染症による影響により目標症例数には及ばなかったが、計195例を登録することができた。 2021年12月までに登録された症例については最低1年間の経過観察期間を設け、安全性と有効性の解析を行った。112例が解析対象となり、T1症例では2年局所制御率90%、2年生存割合91%と良好であり、G3以上の有害事象も認めず、現在までのところ本研究で規定した放射線治療計画法は有効かつ安全であることが示唆された。この結果は2023年12月に日本放射線腫瘍学会で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大により登録ペースが見込みを下回ったが、2023年9月の症例登録期間終了まで計195例の登録が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も経過観察および年1回の追跡調査を実施する。 本基盤研究の終了後も追跡調査の継続、5年および10年経過後の安全性と有効性の解析、国際学会での報告を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症のため、予定していた海外学会参加ができなかった。 研究者のその他の業務の多忙、および研究の遅れのため、補助事業期間を延長した。 次年度は、追跡調査の継続、データ解析、海外学会参加等に使用する計画である。
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