2021 Fiscal Year Research-status Report
転移性肝腫瘍に対する人工知能(AI)を用いた治療効果予測の確立
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19K08160
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
田村 明生 (赤羽明生) 岩手医科大学, 医学部, 特任講師 (90714444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 和之 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40444004)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / CT / ノイズ低減 / 被ばく低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度までに作成したCT画像・病理標本の対応データベースから化学療法後に大腸がん肝転移に対して初めて肝切除を行った44例(男性30例,年齢層41~79歳,平均年齢64.4歳)を抽出し検討した。その結果、術前薬物療法後に腫瘍内の壊死がinfarct-like necrosis(ILN)が優勢で残存細胞が少ない場合は、画像上腫瘍辺縁の境界が明確で造影効果がなく、ILNが優勢ながら残存腫瘍細胞が多い場合は腫瘍辺縁に造影効果があった。壊死の種類は、腫瘍辺縁の形態に関係し、その上で腫瘍辺縁の造影効果については残存腫瘍細胞の有無、dangerous haloの有無が関与しており、腫瘍の血管新生が造影効果に影響を与えていると考えられた。この結果はプレプリントサーバーにて発表した。 また昨年度に引き続き、高体格患者の腹部CTにおいて、線量不足に起因する画像ノイズの増加やコントラスト低下が生じることで肝腫瘍の検出能が低下する問題に対して、人工知能応用画像再構成(DLR)を用いることで線量を増価させることなく画質を改善させる可能性について検討をすすめた。90名の患者から得られた低線量腹部造影CT画像に対してフィルタ補正逆投影法、逐次近似再構成法、DLRをそれぞれ用いて体格別に比較検討したところ、DLRを用いた場合はBody Mass Index(BMI)が増加しても画像ノイズの有意な増加は見られず、一方で低コントラスト分解能は有意に改善していた。DLRを用いた腹部造影CTの実行可能性が示されたこの結果を、英文誌にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬物療法後の大腸癌肝転移の組織所見を反映したCT画像所見について、プレプリントサーバーにて発表した(Akio Tamura, Kazuyuki Ishida, Misato Sone, Kunihiro Yoshioka. Evaluation of peripheral enhancement on contrast-enhanced CT and corresponding pathological findings in colorectal liver metastases after preoperative chemotherapy. medRxiv 2021.10.27.21265582; doi:https://doi.org/10.1101/2021.10.27.21265582)。 人工知能応用画像再構成(DLR)を用いた腹部造影CTの実行可能性について検討を行い、北米放射線学会(RSNA2021)にて発表することができた。また英文誌にて発表することができた(Tamura A, Mukaida E, Ota Y, Kamata M, Abe S, Yoshioka K. Superior objective and subjective image quality of deep learning reconstruction for low-dose abdominal CT imaging in comparison with model-based iterative reconstruction and filtered back projection. Br J Radiol. 2021 Jul 1;94(1123):20201357. doi: 10.1259/bjr.20201357.) 。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸がん肝転移に対するCT画像所見と病理組織所見の蓄積をもとに、予後予測や治療効果判定を可能とした人工知能を応用した画像解析ソフトの開発を目指す。まずは実行可能性の高い臓器セグメンテーション技術の開発から進めたい。 また、人工知能応用画像再構成(DLR)を用いた腹部造影CTを、日常臨床において使用し、被ばく低減撮影を実行しつつ画質や肝腫瘍検出能を担保した撮影プロトコルの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの世界的流行により、国内・国外の学会が軒並みWeb開催となったことで予定した学会出張費が消化されなかった。このため次年度使用額が生じた。 次年度の学会発表の際の出張費や論文発表費用に充てることとしたい。
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Research Products
(11 results)