2019 Fiscal Year Research-status Report
羊膜由来間葉系幹細胞を用いた放射線性口内炎の治療法の開発
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19K08192
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
結城 敏志 北海道大学, 大学病院, 助教 (80455633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 俊介 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (10443475)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射線口内炎 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は骨髄など多くの組織に存在し、新しい再生医療材料として注目されている。また、出産後に通常は廃棄される羊膜にも、間葉系幹細胞が存在することが最近明らかとなった。本研究では、担癌患者に施行される放射線化学療法の合併症として、しばしば重篤な経過をたどり有効な治療法のない放射線性口内炎に着目し、羊膜由来間葉系幹細胞による治療効果を明らかにして、放射線性口内炎の新たな治療法を確立するための基盤を整えることを目的としている。 今年度は動物モデルの実験を中心に行なった。ラットは7週齢の雄性Sprague-Dawleyラットを用いた。放射線照射は直線加速器および鉛遮蔽板を用いて口腔部に15Gyを1回照射した。羊膜由来間葉系幹細胞は帝王切開時に羊膜を採取し、酵素処理を行なって培養した。細胞がコンフルエントになった時点で無血清培地で48時間培養し、その培養液を培養上清とした。培養上清に2%カルボキシメチルセルロースを混和してゲル化し、放射線照射後より連日舌に塗布した。1週間後に屠殺し、病理学的評価ならびに免疫組織染色を行って、炎症細胞浸潤の程度やアポトーシスの程度、血管密度について評価した。また、組織よりRNAを抽出し、TNF-aなど炎症性サイトカインの発現を調べた。 体重の増加はコントロール群に比し培養上清群で良好であったが、Parkinsらの方法による病理学的スコアや炎症性サイトカインの発現に明らかな差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射線性口内炎モデルの作成について、至適条件を設定でき、培養上清ゲルの効果を検討できた。しかしながら、効果に関しては明らかではなかったため、培養上清ゲルの作成方法に問題があるのか、動物モデルの条件設定に問題があるのか課題が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
培養上清ゲルの作成方法を検討する。特に基材の種類および濃度について至適条件を決定する。また、放射線性口内炎以外にも5-FUなど化学療法誘発性口内炎モデルの作成を検討する。並行してin vitroの実験も開始する。
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Causes of Carryover |
動物モデルの条件決定がスムーズにできたため、実験動物の使用を減らすことができた。次年度は別の動物モデルを作成することになるのでそれに充当する。
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