2021 Fiscal Year Research-status Report
多様な放射線照射法による生体に対する放射線影響の予測および評価法の検討
Project/Area Number |
19K08212
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
羽根田 清文 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (30280192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 粒子線 / DNA2本鎖損傷 / モンテカルロシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線障害の発生が、放射線種および細胞核内状態の違いによりどのように変化するかを検討する為に、電離放射線として炭素線、陽子線、電子線および高エネルギーX線の4種類および細胞核内の構造としては、Protein Data Bank(PDB)に登録された形状および独自構造の形状に対してモンテカルロシミュレーションにて実施した。 治療環境を再現した炭素線、陽子線についてはLinear Energy Transfer(LET)および付与線量分布(Spread-Out Bragg Peak:SOBP形状)を変化、高エネルギーX線に関しては高精度放射線治療と従来型治療との差異を確認する為に照射エネルギーおよび線量率を変化させ種々の検証を実施した。 シミュレーション精度を上げるため可能な限り実際の治療環境に近い状態を把握、再現すると同時に実際の実験では取得不可能な条件・状況による放射線影響についても検討した。 放射線障害として、DNA1本鎖損傷、DNA2本鎖損傷の発生割合が従来の生物学的研究結果と近似したのみでなく、DNA鎖レベルの損傷状態にて比較・検証を実施した所、2本鎖損傷においても異なる状態を確認することが出来た。これは、従来LETの違いによる生物学的効果の違いに関連するものと考えられ更なる検討を勧めている。 細胞レベルにおける障害発生および修復に関しては上述した異なる2本鎖損傷の発生状況を用いた手法を現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
我々はクロマチン構造の違いにより生物学的影響が異なるとの考えに基づき細胞核内のDNA構成を変化させ各構造に対する障害発生について検討した。これは独自に作成した細胞核内構造のみでなく、広く公開・利用されている構造体(PDB)でも同様の結果が得られていることから、放射線照射による各種障害発生機序迄は従来の生物学的研究結果に近似した結果をモンテカルロシミュレーションにて再現することが可能となった。 また、放射線障害の主因と考えられる2本鎖損傷も様々な形態を得ることを発見し、その形態分類および割合と照射放射線種および生物学的影響の関係を検討している。 ただ、新型コロナの影響により他機関との研究をほとんど実施することが不可能となっており、我々の研究データとの比較・確認からの行程が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在停滞している研究内容である、DNA損傷からの修復も考慮した生物学的効果の推定をそれによる生物学的影響の検討を早急に実施したいと考えている。 方策としては、これまでの研究成果にて得られたDNA損傷の機構確認および生物学的研究との差異の再検証と行い、差異の原因究明と理論的解析を試みる予定である。 前述の解析結果を基に放射線治療の線量投与データを当てはめることにより放射線治療における生体効果に関して定量的解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では、研究活動を随時発表することにより研究成果の公表のみでなく研究内容の修正や変更を行うことにより着実な研究活動の実施を目標としてきた。しかし、新型コロナの感染拡大により移動が制限され研究打合せや学会活動などに支障をきたし、研究進捗が停滞した。その為、旅費の支出が大幅に減少した。 また、研究活動に最適な物品を随時購入することにより研究費の最適使用を予定していたため、上記の研究活動の停滞により物品の購入も中断している。 上記の理由により当初予定使用計画に基づく支出を行えず、使用額の繰越が生じた。
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Research Products
(1 results)