2020 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目指したトリプルネガティブ乳癌に対する分子標的RI内用療法の開発
Project/Area Number |
19K08221
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
勝又 奈津美 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (50588811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 宏史 関西医科大学, 医学部, 教授 (50361390)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内用放射線療法 / 血液クリアランス / トリプルネガティブ乳癌 / クリックケミストリ― |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我々がこれまで開発してきた、90Y標識抗体によるトリプルネガティブ乳癌の治療法の臨床使用を目指すものである。90Y標識抗体の血液クリアランスを促進し、副作用である血液毒性を低減することを目的とし、これまで使用していたタンパク質であるアビジンを使わない安全性の高い方法として、クリックケミストリーを利用した手法をを開発することを計画した。クリック反応としては、反応性が高く触媒を必要としない、Tetrazine(Tz)とTrans-Cyclooctene(TCO)の組合せを選択した。キレート剤であるDTPAとTCOを結合した、抗VEGF抗体(ベバシズマブ)を作製し、もう一方のクリアランスを促進させるための分子として、Tzを結合したガラクトース結合アルブミン(NGA)を作製した。NGAは分子にガラクトースを含有するため、投与後速やかに血液から消失し、肝臓へと移行することが知られている。111In標識ベバシズマブを作製し、担がんマウスにおける体内分布を検討したところ、111In標識-TCO結合ベバシズマブは、TCOが結合していない111In標識ベバシズマブと同様の血中滞留性を示したが、Tz結合NGAを投与することにより、一時間後には血中放射能が低減し、肝臓の放射能が増加した。一方、腫瘍集積性はほぼ同等であった。この結果より、当初の期待通り、血中でクリック反応が起こることで、ベバシズマブとNGAの複合体が形成され、放射活性が血液から肝臓へと移行したと考えられ、本システムの有用性が確認できた。一方で血中放射能の減少は限定的であり、その原因としてNGAの肝臓移行性が早く、抗体と結合する前に肝臓に移行してしまうことが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本手法の有用性を担がんマウスにおいて明らかにすることができた。しかしながら血液クリアランスの減少は、以前行ったアビジン-ビオチンシステムを用いたものよりも小さかった。この原因としてNGAの肝臓移行性が想定以上に早いことが考えられ、肝臓移行性が穏やかなNGAを作製する必要が生じた。現在そのようなNGAを合成中であり、合成に時間を要するため、研究が少し遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、血液クリアランスが穏やかなNGAを作製した後、担がんマウスにおける体内分布実験及び治療実験を行い、本手法の有用性を評価する予定である。
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