2021 Fiscal Year Research-status Report
超高磁場MRI:多素子並列RF励起技術の安全性確立と局所超高分解能撮像への展開
Project/Area Number |
19K08244
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
上口 貴志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究技術員 (80403070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 幸子 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (40623054)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高磁場MR / 7T MRI / 画像診断 / パラレル送信 / RF磁場 / 画質 |
Outline of Annual Research Achievements |
7T超高磁場MRIは、3Tまでの一般的なMRIと比較して原理的に高い計測感度を有し、これは信号ノイズ比を高め、画像の高解像度化につながると期待されている。しかし現実には、高磁場になるほど体内でのRF励起の空間的均一性が失われ、計測感度から理論的に予測されるほどの高解像度化は難しい。本研究ではこの問題の解決を目指す。 RF励起の空間的均一性を高める方法として、昨年度から引き続き、今年度においても並列RF送信技術の実用化を検討してきた。具体的には振幅と位相の異なる8種類のRF波を同時送信し、その重ね合わせの結果を均一にすることで前記問題の解決を図る。ここで問題となるのは、RF波による体温上昇を許容範囲内にいかに確実に抑制するかであり、そのためにはRF励起による温度上昇の実測が不可欠で、本研究では脳機能イメージングを想定して、撮像されるEPI画像から温度上昇をモニタリングする方法を検討してきた。EPI画像に含まれる水分子由来の信号と脂肪分子由来の信号との間には温度に対する感度の違いがあり、これを位相差として捉えることで温度上昇を精度よく計測できることがこれまでのファントム実験で確認できた。ただ、ヒト脳に対しては脂肪信号が十分に得られず、実用できる段階には達していない。 上記検討の過程で、脳機能イメージングを安定して高解像度に行える手法の提案に至った。この方法はEPIの信号収集をセグメント化し、さらに被験者に対する刺激提示もセグメント化したうえで、両者の時間軸での推移を工夫することで実効時間分解能を1~2秒程度に保ちながら、機能画像解像度を3軸それぞれ0.7mm程度に安定的に高めることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目標であったEPI画像からの温度上昇の推定が、ファントムでは安定的に行えるものの、ヒト脳ではいまだ十分な精度が得られていないため。他方、脳機能イメージングを高解像度で安定的に行える手法の提案に至り、副次的ではあるが高い研究成果であると考える。これらを総合的に考えると、やや遅れていると判断するのが妥当であると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度および今年度の結果から、当初予定のEPIでの温度上昇の推定は難しいと判断し、代替手段を検討する。また今年度の研究成果である高解像度な脳機能イメージング手法の提案については、被験者を増やして詳細なデータを取り、論文等として報告する。
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Causes of Carryover |
シーケンス開発等にやや遅れが出たことで計算機やファントムなどの購入を一部見送ったこと、また新型コロナウィルス感染拡大の影響により、遠隔地への出張が減ったことによる。次年度使用額は、研究成果の発表(学会、論文等)に必要な経費、および電磁場シミュレーションを効率よく行うための補助計算機の購入に充当する予定である。
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