2022 Fiscal Year Research-status Report
超高磁場MRI:多素子並列RF励起技術の安全性確立と局所超高分解能撮像への展開
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19K08244
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
上口 貴志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究技術員 (80403070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 幸子 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (40623054)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高磁場MR / 7T MRI / 画像診断 / 高解像度 / 画質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
7T超高磁場MRIは、3T以下の従来のMRIと比べて高い計測感度を有する反面、静磁場やRF磁場の不均一性による画質劣化の側面も顕著となるため、高画質で高解像度な画像を得るにはさまざまな工夫が必要である。本研究はこの点に着目し、計測技術の研究開発を進めてきた。今年度は主に、脳機能イメージングに使用できる超高速撮像法である、高解像度EPIの開発を前年度に継続して実施した。 EPIは通常、1枚の画像に必要なすべての信号を一度の励起で収集するシングルショット法が用いられるが、高解像度化を目的に信号収集数を増加させても、後半の信号は横緩和による減衰と位相誤差の蓄積により質が劣化しているため、実効的な解像度の向上にはつながらない。そこで信号収集をマルチショット化することでこの問題の解決を図ることとした。ただし、実際に実験を実施すると、ショット間での位相誤差による画質劣化が非常に大きいことが判明し、その影響を取り除くための信号処理手法の開発などを並行して行い、安定的にマルチショット計測が行えるようになった。 そして、この技術を脳機能イメージングに応用しようとする際、もう1つ解決しなければならない問題があり、それは時間分解能の低下である。マルチショット計測は、複数回の信号収集で1枚の画像を生成するため、それだけ時間効率が低下し、とくに脳機能計測のような時系列での信号収集を必要とする場合に大きな問題となる。そこで脳機能イメージングに使用する視覚刺激提示のスキームをマルチショット計測に適した形に変形し、信号計測の総時間は短縮しないものの、時間分解能は改善できるような仕組みを導入し、サブミリメートルオーダでの安定した脳機能計測を実現できるようになった。そして、これらの技術の性能、画質の差等を従来の撮像法と定量的に比較するなどした研究結果を国内外の学術会議等において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画であった、パラレル送信技術の安全性評価が進んでいない。これは、EPI画像からの体温上昇を推定する技術で、ファントム実験系では十分な精度が得られているが、ヒト脳での安定的な計測が実現できていない。もともとはこの点を軸に高解像度化を目指す予定であったが、現在は別な軸で高解像度化を目指しており、一定の成果が得られていることから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
継続してEPIの高解像度化を目指す。マルチショット計測は理論的には実現が容易であるが、実際には被験者の動きなどの影響が大きな画質劣化をもたらすことが本研究で明らかとなっているため、信号処理技術の開発などを継続して実施していく。また、パラレル送信技術の安全性評価についても、新たなアイデアを着想しており、検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
安全性評価など、一部の研究項目に遅れがあり、その実験等に必要な消耗品等の購入を見送ったこと、また学会等への出席を見送ったことによる。現時点での研究計画に大きな修正はなく、これら未使用額は次年度に当初の予定通り、使用する予定である。
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