2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規骨成長因子FAM111Aによる骨・軟骨分化増殖機構の解明
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19K08246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北中 幸子 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (30431638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FAM111A / Kenny-Caffey 症候群2型 / osteocraniostenosis / 軟骨内骨化 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで著明な低身長、大泉門閉鎖遅延、副甲状腺機能低下症、長管骨の骨膜肥厚などを特徴とするKenny-Caffey症候群2型(KCS2)の研究を行い、原因遺伝子FAM111Aを全エクソーム解析により同定した。しかし、FAM111Aの生体内における機能はほとんどわかっておらず、なぜ変異によって疾患を発症するのか、そのメカニズムは全く不明である。本研究では、FAM111Aの生体内の作用、特に顕著な症状である低身長をきたす機序を解明することを目的とする。 我々の作成した遺伝子改変マウスをPrx1-Creマウスと交配することで四肢頭蓋特異的にKCS2変異型hFAM111Aを強制発現させると、ヒトKCS2同様に四肢長管骨の短縮・大泉門閉鎖遅延を呈した。組織学的な解析により長管骨の短縮は軟骨細胞増殖の抑制によるものと考えられた。また、野生型hFAM111Aを強制発現させると、同様の表現型が軽度に見られた。さらに、KCS2の重症型とされるOsteocraniostenosis(OCS)変異型hFAM111Aを強制発現させると、同様の表現型がより重度に見られた。 軟骨・骨芽前駆細胞株を用いた解析では軟骨分化・骨分化の抑制がそれぞれ見られ、モデルマウスで見られた表現型が軟骨内骨化および膜性骨化への直接的な影響と考えられた。 FAM111Aはプロテアーゼ作用を有することがアミノ酸配列から予想されていたが、自己プロセッシングにより切断されることを見出した。その断片化した蛋白は、変異型で優位に増加していること、さらに、重症型のOCSをきたす変異では切断がより亢進していた。 これらの結果から、FAM111Aは軟骨内骨化および膜性骨化を抑制する作用をもち、変異によるプロテアーゼ作用の増強、もしくは増加した断片が活性型として作用することで機能亢進が起こり低身長・大泉門閉鎖遅延を来すと考えられる。
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