2020 Fiscal Year Research-status Report
FAK阻害薬の骨原発悪性腫瘍への早期臨床応用実現を目標とした転移抑制機構の解明
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19K08255
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
盛武 浩 宮崎大学, 医学部, 教授 (40336300)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 肺転移 / RNAシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
小児・若年成人における転移性骨肉腫例の予後は非常に不良であり、転移性骨肉腫に対する有効な治療法の確立が必要な課題とされている。本研究では転移能を有する骨肉腫のがん細胞分画の同定、原発巣・転移巣の遺伝子発現解析を行い、骨肉腫の転移における機構を解明する糸口をつかむことで、転移前の治療介入や、新規治療法の確立による予後改善に期待できると考える。 骨肉腫の転移機構を解明するために、骨肉腫細胞株のXenograft modelをとおして肺転移モデルを確立し、原発巣・転移巣のそれぞれの遺伝子発現の比較解析を行う計画をたてた。複数の骨肉腫細胞株を免疫不全マウスに脛骨経由で移植を行い肺転移が確立するかを確認した。文献にも報告されている様にヒト骨肉腫細胞株143Bにより病理学的に肺転移が成立することを確認し、移植細胞に選定した。次に骨肉腫細胞株に発現が報告されている各種抗体を用いてFCM解析にてCD29, CD73, CD105の高発現を確認した。続いて5頭の免疫不全マウスに脛骨経由にて143B細胞を100万個投与した。5週後に投与部位である脛骨腫瘤が増大したため、安楽死させ原発巣と両肺を採取した。標本作製しHE染色により原発巣、肺ともに骨肉腫病変が肉眼的に存在することを確認した。さらに採取組織を破砕しFCMで解析したところ、原発巣と肺転移巣いずれも143B細胞株同様、CD29, CD105高発現を確認し、これらの抗体をソーティングに用いることにより骨肉腫細胞の回収可能と判断した。回収効率を上げるため、まずCD105でMACS分離後にJSANセルソーターで骨肉腫細胞(CD105, CD29陽性部分)を原発巣、肺転移巣でそれぞれ回収した。回収した細胞からRNAを抽出してRNAシーケンスによる発現比較を行う予定である。さらに骨肉腫3名から原発と肺転移巣ペア検体を入手し、臨床検体によるRNAシーケンスによる発現比較もあわせて行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
医の倫理委員会での臨床検体利用までの承認に予想以上に時間を要したから
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシーケンスで浮かんできた候補遺伝子をターゲットとした機能解析に速やかに着手する
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Causes of Carryover |
今年度計画予定であった研究が検体提供施設の倫理委員会審査の遅れにより行えなかったため、次年度に繰越さなければならなくなったから
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