2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞送達能を高めた改変型酵素を用いるムコ多糖症II型の造血幹細胞遺伝子治療法開発
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19K08262
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
嶋田 洋太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20560824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 孝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30595327)
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60160595)
小林 博司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90266619)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / ムコ多糖症II型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ムコ多糖症II型は、イズロン酸-2-スルファターゼ(IDS)遺伝子の欠損により生じるライソゾーム病であり、IDSの基質であるグリコサミノグリカン(GAG)が各種臓器に蓄積することにより、肝脾腫や中枢神経症状など様々な症状を全身性に呈する。本研究の目的は、全身の細胞へ移行する能力を高めたIDSを造血幹細胞に発現させた後に再移植を行う自家造血幹細胞遺伝子治療のムコ多糖症II型への有効性を明らかにすることであり、1度の治療介入で全身病変へ効果を示す遺伝子治療法の開発を目指している。 今年度は以下の3点について実施した。 (1)昨年度、ムコ多糖症II型モデルマウス由来の造血幹細胞にレンチウイルスベクターを用いて抗トランスフェリン受容体抗体融合IDS(TfR-IDS)ならびにIDS単独を発現させ、同マウスへと移植を行った。本年度は、血液や主要な臓器におけるIDS活性とGAG蓄積の評価などを行い、治療効果の解析ならびに有効性の比較検討を引き続き実施した。その結果、中枢神経系においてIDSよりもTfR-IDSの方が治療効果に優れることが確認された。 (2)レンチウイルスベクターによるヒト造血幹細胞への遺伝子導入条件などの改良を進め、TfR-IDS導入造血幹細胞の解析に先立って、IDS導入細胞による治療効果の解析を行った。 (3)TfR-IDSの酵素活性のさらなる向上を目指したIDSの改変に着手した。TfR-IDSの酵素活性を高めることは治療効果の向上のみならず、造血幹細胞へ遺伝子導入する際に必要なウイルス力価の低減にもつながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の進捗の影響により研究計画の進行が予定よりもやや後ろにずれ込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
TfR-IDSを発現する造血幹細胞遺伝子治療のムコ多糖症II型モデルマウスへの高い有効性が確認できたことから、TfR-IDSをヒト化し、ヒトトランスフェリン受容体を発現する同疾患モデルマウスを用いてさらなる検討を行う予定である。また、ヒト造血幹細胞での検討および、IDSの改変に関しても引き続き進める予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の影響により研究計画が予定よりもやや後ろにずれ込んでいるため、まだヒト造血幹細胞での評価など一部解析が実施途上となっている。引き続き、ヒト細胞での解析を進めると共に、臨床応用への確度を高めるべく、ヒト型TfR-IDSを利用した造血幹細胞遺伝子治療の検討にも使用予定である。
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