2021 Fiscal Year Annual Research Report
疾患特異的iPS細胞を用いた髄鞘形成不全症の新規細胞病態解明:活性酸素仮説の検証
Project/Area Number |
19K08265
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
鈴木 禎史 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第二部, リサーチフェロー (70465003)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 髄鞘形成不全 / 病態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、PLP1遺伝子重複によって起こる先天性大脳白質形成不全症の代表的な疾患であるPelizaeus-Merzbacher病(PMD)の新規病態解明を行うことである。 PMD患者から樹立した疾患特異的iPS細胞を用いて、病態モデルの構築、OLs(オリゴデンドロサイト)分化過程で起こる分子・細胞病態解析を行った。これまでに明らかとしてきた細胞内活性酸素種(ROS)の蓄積上昇について、4名のPMD患者から作製したiPS細胞を用いて解析を行った。分化誘導52日目のPDGFRa陽性OPCs(オリゴデンドロサイト前駆細胞)では活性酸素の蓄積は見られず、誘導75日目のO4陽性OPCsにおいてROSの蓄積が見られた。さらに、この時点でのProcess(突起)全長と分岐数を計測したところ、PMD-OPCsにおいて低下が見られた。 成熟OPCを誘導することで、どのような細胞病態を引き起こすか解析を行った。誘導80日以降のOPCsの解析を行ったところ、一部のO4陽性細胞において、肥大化した細胞が検出され、コントロールと比較して明らかに強く染色されるSAb-gal(細胞老化マーカー)陽性細胞が検出された。これらの細胞が本当に細胞老化を起こしているか調べるために、細胞増殖能とDNA損傷について解析を行った。PMD-OPCsにおいて、BrdU陰性、gH2AX陽性細胞が検出されたことから、誘導80日以降のPMD-OPCsでは細胞老化が誘導されている可能性が出てきた。 本研究結果より、①細胞の高密度化、②OPCs誘導中期~後期のROSの蓄積、③Process全長/分岐数の低下について、PMD-OPCsに共通的な異常として現れることを示した。前駆細胞で生じるROSの蓄積と病態との関連性について、ROS蓄積の誘導/抑制を行い、OLs分化や髄鞘化について検討を行い、新規細胞病態の解明を進めていく。
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Research Products
(1 results)