2021 Fiscal Year Research-status Report
移植臍帯血幹細胞の分化と周生期大脳皮質白質損傷への応用
Project/Area Number |
19K08267
|
Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
中西 圭子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 非常勤研究員 (50280813)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 臍帯血幹細胞 / 周生期脳障害 / 白質損傷 / コンドロイチン硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)モデルラットにラット臍帯血幹細胞を移植するというラット同種移植系を用いて、臍帯血幹細胞が周生期脳障害を軽減させることを報告してきた。本研究では、臍帯血幹細胞の特性や周生期白質損傷に対する臍帯血幹細胞の効果について検討することを目的としている。 今年度は臍帯血幹細胞の糖鎖組成について検討した。コンドロイチン硫酸(CS)やへパラン硫酸(HS)などの糖鎖は様々な組織の細胞外マトリクスとして存在し、成長因子等と結合することにより細胞の分化・増殖に関与することが知られている。ラット胎仔臍帯血より有核細胞層を分離増殖させ、幹細胞リッチな細胞群(Stem cell enriched umbilical cord blood cells; SCE-UCBC)を得た。この細胞群のCS,HS糖鎖分析を行ったところ、HS含有量に比較してCS含有量が多いことがわかった。CS糖鎖は二糖の繰り返しに硫酸基のついた構造をしているが、その硫酸基の位置や数によりO-, A-, B-, C-, D-, E-unitに分類される。SCE-UCBCのCS鎖はA-unitを多く含むことがわかった。また、Colony forming cell assayを行ったところ、CS糖鎖分解酵素処理によりコロニー形成細胞の割合が減少した。以上のことから、臍帯血幹細胞にもCS、HS糖鎖が存在すること、CSは臍帯血幹細胞の増殖・分化などの生物学的機能に関与している可能性があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
周生期白質損傷モデル作成において、白質損傷を定量できる評価系を確立するためにさらなる条件検討が必要であることが判明した。また、今年度新たに雇用した実験補助アルバイトに仕事を覚えてもらうのに時間がかかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長し、白質損傷の定量評価系を確立する。実験補助アルバイトを継続雇用し、効率的な研究を推進する。
|
Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、コロナウィルス感染症のため、緊急事態宣言の発出・自粛要請があり、動物実験等を順調に進めることができなかった。次年度は、白質損傷を定量的に評価する系を確立し、白質損傷モデルにおける効果を判定する動物実験を行うために助成金を使用していく予定である。
|
Research Products
(2 results)