2021 Fiscal Year Research-status Report
低栄養発育胎児における有機陰イオン輸送体の機能の解明
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19K08274
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
内村 康寛 滋賀医科大学, 医学部, 特任准教授 (90803990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 潤 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10284027)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DOHaD / 成人病胎児起源説 / 脂肪蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
SLC22a23ノックアウトラット(SLC22a23-/-)株を作製した。SLC22a23+/-の親ラットの交配を行い、得られた同腹子の遺伝型の違い(SLC22a23+/+, +/-, -/-)による行動の違いを解析した。多動・不安などの違いを調べるため、オープン・フィールド解析(5週齢)、高架式十字迷路(6週齢)、ガラス玉埋め解析(6週齢)を行った。認知・記憶などの違いを調べるため、新規物体認識解析(5週齢)、モーリス水迷路解析(7~8週齢)を行った。5週齢から順次行動解析を開始したが、現在までの実験では、遺伝型の違い(SLC22a23+/+, +/-, -/-)による統計的に有意な行動の違いは見出されていない。
しかしながら、同腹子の体重を比較した所、異なる遺伝型(SLC22a23+/+, +/-, -/-)の間で、顕著な違いが見出された。SLC22a23+/+に対しオスSLC22a23-/-は約20%、オスSLC22a23+/-は約10%、メスSLC22a23-/-は約10%が減少していた(メスSLC22a23+/-では+/+と差が見られなかった)。行動解析で運動能や行動特性の違いが検出されず、体重の違いのみが(雌雄差を伴い)検出されたことから、筋肉や臓器の形成に差はなく、脂肪の蓄積に違いがあると予想される。今後さらに詳細な解析を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SLC22a23ノックアウトラットを作製し、行動解析を行なったことは、当初計画どおりの順調な進展である。しかしながら、SLC22a23を認識する抗体をつくり、免疫組織化学を行う実験では、作製した抗SLC22a23抗体が内在性タンパク質の検出に十分な特異性がなく、抗体を作り直す必要があるため、実験の進展が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
SLC22a23ノックアウトラットで見出された体重増加の減少は、脂肪蓄積量が減少しているため起きていると予想される。MRIなどを用いて脂肪蓄積量、各臓器の大きさなどを測定し、確認する。SLC22a23ノックアウトラットの最も顕著な表現型が、脂肪蓄積量の減少であることが確認された場合、どのような種類の脂質の取り込みに欠損があるかを明らかにし、DOHaDでみられる肥満などとの関連を調べる。
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Causes of Carryover |
独自に作製した抗SLC22a23抗体が内在性タンパク質の検出に十分でなかったため、免疫組織化学実験が進展していない。このため、次年度使用額が生じた。抗SLC22a23抗体を作り直し、再度、免疫組織化学実験を行う計画である。
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