2021 Fiscal Year Annual Research Report
皮質オルガノイドを用いたてんかん性脳症の収束的メカニズムおよび治療研究
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19K08281
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 康成 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10380396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達性てんかん性脳症 / GNAO1 / オルガノイド / iPS / 分子シグナル / 細胞骨格 / SPTAN1 / 治療標的 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に先立ち、免疫共沈降法を用いてGNAO1がコードするタンパク質(Gao)との結合分子を網羅的に探索した。その結果Gaoは、SPTAN1と脳内で複合体を形成することが明らかになった。GNAO1/GaoとSPTAN1は、いずれも発達性てんかん性脳症(Developmental and Epileptic Encephalopathy, DEE)関連分子として知られる。またSPTAN1は、細胞骨格および軸索起始部の形成に必須な分子である。したがって、Gao-SPTAN1複合体が制御する下流シグナルを同定することで、DEE発症に関わる分子病態の一端を解明できる可能性が示唆された。 今回、GNAO1関連脳症の神経生物学的メカニズムを解明するために、患児由来大脳皮質型・脳オルガノイドを誘導した。GNAO1変異オルガノイドは、健常者由来オルガノイドに比べて成長(サイズ増大)が遅く、表面構造の凹凸が目立った。GNAO1変異オルガノイドの表層付近には、未熟ニューロン(GFAP陽性細胞群)の占める層構造が目立ち、相対的に成熟マーカーNeuNの発現レベルは低下していた。長期培養の結果、GNAO1変異オルガノイドでは、SPTAN1他、軸索起始部・細胞骨格関連タンパク質の発現、リン酸化ERK、細胞外刺激によるカルシウム応答性がいずれも減衰していた。これらのデータは、Gao-SPTAN1複合体が、ニューロンが分化段階で機能的な極性を獲得する上で不可欠である可能性を支持していた[Akamine S, FASEB J 2020]。現在、Gao-SPTAN1複合体が制御する分子シグナルを検証し、DEEの新しい治療標的を探索している。
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Research Products
(10 results)