2020 Fiscal Year Research-status Report
酸素による血管リモデリングを標的とした動脈管閉鎖機構の解明
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19K08282
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
赤池 徹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20647101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南沢 享 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40257332)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動脈管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、出生直後の血中酸素濃度の上昇が、血管リモデリングを促進して動脈管を閉鎖させる分子機序を明らかにすることを目的とする。 まず、酸素濃度の変化によりラット動脈管平滑筋細胞の遺伝子発現がどのように変化するのかを確認した。胎生後期のラット動脈管から初代培養を行い、ラット動脈管平滑筋細胞を採取した。動脈管平滑筋細胞を低酸素インキュベータで3日間培養した群と、低酸素インキュベータで2日間培養後に正常酸素インキュベータで1日間培養した群をそれぞれDNAマイクロアレイ解析し、遺伝子発現を確認した。 酸素濃度の上昇により、19の遺伝子で1.5倍以上発現が増減した。これらの遺伝子の中からnr4a1遺伝子に着目した。胎生末期から出生後にかけて、細動脈におけるnr4a1の発現は変わらないが、動脈管におけるnr4a1遺伝子の発現が上昇する。次に、出生直後の動脈管閉鎖にNr4a1遺伝子が関与しているか調査した。動脈管閉鎖にはヒアルロン酸産生による内膜肥厚が重要であると報告されている。動脈管平滑筋培養細胞においてNr4a1遺伝子の発現を抑制すると、ヒアルロン酸の産生が抑制された。今後、nr4a1がどのような分子機序により、ヒアルロン酸産生を介して動脈管を閉鎖するのか解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸素濃度の上昇により動脈管で発現変化のある遺伝子を同定するための網羅的解析を行い、複数の遺伝子が同定された。その中から動脈管閉鎖に関与するnr4a1遺伝子を選別し、この遺伝子が動脈管閉鎖を及ぼす分子機序を調査しており、おおむね当初の予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
動脈管閉鎖の分子機序である、ヒアルロン酸産生、細胞遊走・増殖能亢進、そして弾性線維低形成のいずれかの機序にnr4a1が関与していくのか調査していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は6,291円であり、ほぼ予定通りの使用ができたと考える。残額を合わせた今年度の経費は、引き続き遺伝子の機能解析実験や実験動物購入費及び初代培養に用いる試薬・消耗品際に用いる予定である。
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