2019 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析と三次元タンパク構造解析を用いたウエスト症候群の基礎病態解析
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19K08285
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
石原 尚子 藤田医科大学, 医学部, 講師 (30393143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 秀人 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 講師 (70308849)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウエスト症候群 / 網羅的遺伝子解析 / タンパク構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウエスト症候群は主に乳児期に発症する予後不良なてんかん性脳症であり、その疾患多様性は幅広く、予後も様々である。本研究ではウエスト症候群およびその類縁である難治性てんかん性脳症を対象として網羅的遺伝子解析にて候補遺伝子を絞り込み、その病態解析をすすめるものである。 2019年度は11例のウエスト症候群(7例)および類縁するてんかん性脳症(4例)の診療を行なった。基礎疾患は結節性硬化症が5例、潜因性が1例、基礎疾患不明例が5例であった。網羅的遺伝子解析の結果、1例で候補遺伝子を同定し、その機能解析をすすめている。症例は2歳男児で、発育不全、発達遅滞、先天性ネフローゼ症候群を合併。13ヶ月時にてんかんを発症し、てんかん性脳症へ進展した。患者と両親の末梢血からDNAを抽出しトリオエクソーム解析を施行、得られたデータをヒト参照配列(hg19)と比較し、タンパク質コーディングに影響を与える稀な変化(1%未満のvariant)について新生変異(de novo)および劣性遺伝形式(AR, XL)のバリアントについて精査した。結果はde novo 5件、AR 8件、XL 2件の候補遺伝子を挙げた。このうち、候補遺伝子Xについてさらに解析をすすめた。遺伝子Xは母由来のmissense variantと父由来遺伝子上のde novoのsplice site variantを認めた。この2つのvariantについてmRNAを解析したところ、いずれもスプライシング異常による通常より短い異常産物が確認された。異常産物はそれぞれstop codonおよびframeshiftを新たに認め、機能への影響が示唆された。遺伝子Xは発達遅滞および肝機能障害の報告はあるものの、てんかん性脳症の報告はなく、関連性についてさらに検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎疾患不明例5例のうち、4例で網羅的遺伝子解析を施行して解析を行なっている。網羅的遺伝子解析による原因遺伝子の同定は2-4割と言われているが、本研究では初年度に1例で候補遺伝子の絞り込みおよび病態解明をすすめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 新規症例の研究参加をすすめる。 2. 臨床検査データの集積と、原疾患別の治療経過および予後の評価を行なう。 3. 網羅的遺伝子解析実施例に対する臨床データと候補遺伝子のマッチング作業 4. 候補遺伝子の絞り込みが行なわれた症例について、その病態解析をすすめる。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサー解析費用について、他の研究検体と同時に解析を行ない、当初予定している金額を下回ることになった。症例登録は初年度に完了することは困難であり、次年度にも新規症例の登録が見込まれる。これらの助成金は、次年度の新規症例の解析に充てる予定である。
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