2019 Fiscal Year Research-status Report
腸管免疫に影響を与える腸内細菌叢に着目した微小変化型ネフローゼ症候群の病因解明
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19K08287
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| Research Institution | Kansai Medical University |
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Principal Investigator |
辻 章志 関西医科大学, 医学部, 准教授 (00360256)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 微小変化型ネフローゼ症候群 / 腸内細菌叢 / dysbiosis / 制御性T細胞 / 酪酸産生菌 / CD80 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
4種類の抗菌薬 (amoxicillin、cefotaxime、vancomycin、metronidazole)投与によって腸内細菌叢を無菌化したラットを作成した。4種類の抗菌薬は合計10日間連日投与した。腸内細菌叢を無菌化（非無菌化ラット）しないコントロールラットには10日間リン酸緩衝液を連日投与した。微小変化型ネフローゼ症候群（minimal change nephrotic syndrome: MCNS）の病変を惹起するpuromycin aminonucleoside (PAN)を腸内細菌叢を無菌化したラットに投与した場合にMCNS病変が重症化するか否かを尿タンパク定量で確認をした。その結果、腸内細菌叢を無菌化したラットは非無菌化ラットと比較して尿タンパク定量は増加していることが分かった。抗菌薬を投与したラットの腸内細菌叢を16S rRNAシークエンスで評価した結果、多様性を示す指標であるShannon indexは抗菌薬投与前と比較して有意に低下していた。また目レベルにおける抗菌薬投与前後の腸内細菌叢を評価した結果、投与後は連鎖球菌が属するLactobacillalesと大腸菌などが属するEnterobacterialesが大多数となりdysbiosisを起こしていることが分かった。科レベルで評価した結果は酪酸産生菌が多く属しているRuminococcusやClostridiaceaが減少していた。以上の結果から抗菌薬を投与した結果、無菌化したラットはdysbiosisをきたし次年度に評価する必要があるが酪酸産生菌が減少することにより制御性T細胞の絶対数が低下していることが示唆された。その結果、PANラットのポドサイト上のCD80の発現量が低下せずポドサイト障害が持続して尿タンパク量が非無菌化ラットと比較して増加したと考えた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4種類の抗菌薬 (amoxicillin、cefotaxime、vancomycin、metronidazole)投与によって腸内細菌叢を無菌化したラットは安定して作成することが出来るようになった。puromycin aminonucleoside (PAN)をラットに投与することにより微小変化型ネフローゼ症候群（minimal change nephrotic syndrome: MCNS）モデルラットを作成したが、約20%程度はPANを投与してもネフローゼ状態とならない個体も存在した。その理由として本年度はPANをラットの尾静脈に投与していたが、PANが血管内ではなく皮下に注入していることがあったと考えている。次年度からはより安定的にPANラットを作成するために後頚部の皮下にPANを注入する方法に変更する予定である。
またラット血中制御性T細胞をフローサイトメーターを使用して測定する予定であったが、ネフローゼ状態となるPANラットを安定して作成するために工夫を必要としたため間に合わなかった。
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| Strategy for Future Research Activity |
2019年度に施行する予定であったラット血中制御性T細胞測定を確立して、抗菌薬投与による無菌化前後での比較を2020年度中に施行する。また2020年度は腸管関連リンパ組織（GALT）においてinducible Treg（iTreg）を分化誘導させる作用を有する腸管作用型ステロイド製剤（経口摂取しても小腸および結腸近位部でステロイド成分・ブデソニドを放出するよう設計された腸溶性徐放顆粒）をMCNSモデルラット（PANラット）に投与した場合、通常のステロイド剤を投与したPANラットに比べてMCNSは軽症化するか否かを検討する。またMCNS病変を呈するPANラットに対して、Treg増加作用を有するStatin製剤を投与することでMCNSは軽症化、あるいは発症抑制が可能かを検討する。
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