2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸管免疫に影響を与える腸内細菌叢に着目した微小変化型ネフローゼ症候群の病因解明
Project/Area Number |
19K08287
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
辻 章志 関西医科大学, 医学部, 准教授 (00360256)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 酸化ストレス / puromycin / 微小変化型ネフローゼ症候群 / 8-OHdG |
Outline of Annual Research Achievements |
4種類の抗菌薬内服により腸管内をほぼ無菌状態にした時のpuromycin aminonucleoside (PAN)投与ラットの尿タンパク量について評価をした。PANをラットに投与することによりラットはネフローゼ状態となる。腸管内を無菌状態にした時には酪酸産生菌は壊滅状態となるためTregも低値となり、尿タンパク量は対照と比較して高値となることを予測していた。しかし、結果は逆に尿タンパク量が低値となっていた。当初の予想と反する結果になったが、尿タンパク減少の理由として抗菌薬によるエンドトキシン産生菌などの殺菌が関与していると想定し、ラット血中のエンドトキシンを測定したが、4種類抗菌薬投与群と対照群ともエンドトキシンは測定感度以下であり両群に有意差を認めなかった。次に4種類の抗菌薬の投与により酸化ストレスと関連する腸内細菌が殺菌される結果、PANラットの尿タンパクが減少したと考えた。PANラットがネフローゼ状態となる機序として酸化ストレスとの関連が示唆されているためである。そこで酸化ストレスマーカーである尿中8-OHdGを測定した結果、対照群ではPBS投与前後で尿中8-OHdGの有意な変化はなかったが(前:92.4、後:72.9 ng/mgCr、p=0.1)、4種類抗菌薬内服前後では有意に低下した(前:110.6、後:40.6 ng/mgCr、p=0.03)。以上の結果から4種類の抗菌薬投与によるPANラットの尿タンパク量減少は酸化ストレスの軽減が関与していることかが示唆された。今後は腸内細菌叢と酸化ストレスとの関係性についてさらに追求していく予定である。
|
Research Products
(2 results)