2019 Fiscal Year Research-status Report
神経型リソソーム病とパーキンソン病に共通する新たな神経病態メカニズムの解明
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19K08288
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
松田 純子 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60363149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 悦子 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70378610) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スフィンゴリピドーシス / リソソーム病 / サポシン / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
サポシン(SAPs)-A、B、C、Dは、リソソームにおけるスフィンゴ脂質の分解において、加水分解酵素とともに必須の疎水性糖タンパク質で、前駆体であるプロサポシン遺伝子(PSAP)にコードされている。SAP-A、SAP-B、SAP-Cにはヒトの欠損症が報告されており、それぞれ、神経型リソソーム病であるクラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ゴーシェ病に類似した表現型を呈する。我々は常染色体優性遺伝性の家族性パーキンソン病患者においてPSAPのSAP-D領域にヘテロ接合性の遺伝子変異を見出した。本研究では、SAP-D変異によるパーキンソン病発症の分子メカニズム検討するために、我々の作成したSap-D 変異マウスの大脳組織および黒質の比較プロテオミクス解析を行った。134 個のタンパク質が有意な変動を示し、Sap-D変異マウスにおいて増加していたのは21 個で、PSAP、HEXB、PPT1、CTSD、CTSB、LAMP1などのリソソーム関連因子が含まれていた。減少していたのは13個で、Ca2+-ATPaseであるATP2BとATP2B3、皮質形成異常の病因の1つであるPI4KAが含まれていた。抗PSAP抗体を用いたイムノブロット解析の結果、Sap-D変異マウス脳ではPSAPが著増し、一部はオリゴマー化していた。免疫組織染色の結果、黒質ではドパミン神経細胞の変性脱落とグリオーシスが顕著であった。Sap-D変異マウス脳ではPSAP の発現が上昇し、大脳皮質V層の大型神経細胞、海馬CA3領域の錐体神経細胞、黒質のドパミン神経細胞においてPSAP陽性の封入体が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sap-D変異マウス脳では黒質ではドパミン神経細胞の変性脱落とグリオーシスが顕著であり、Sap-D変異マウスが、SAP-D変異によるパーキンソン病発症の分子メカニズム検討するうえで、極めて有用なモデル動物であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
PSAPのリソソームへの輸送にはSAP-D領域が必要であるとされており、Sap-D変異マウスではPSAPの輸送障害により、PSAPが細胞内に異常蓄積すると推定される。PSAPの蓄積は神経型リソソーム病である神経セロイドリポフスチン症や前頭側頭葉変性症でも指摘されており、細胞内にオリゴマー化して異常蓄積したPSAPが神経細胞毒性を持ち、神経型リソソーム病を含む神経変性疾患を惹起する可能性がある。今後は、モデル細胞、神経細胞、グリア細胞の初代培養を用いた実験系を用いて、"プロサポシノパチー(prosaposinopathy)”という病態仮説の検証に取り組む。
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Causes of Carryover |
プロテオーム解析費用が予定より低価格で遂行できたため。次年度使用額はモデル細胞の作成および神経細胞やグリア細胞の初代培養実験に必要な試薬の購入にあてる予定である。
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Research Products
(6 results)