2020 Fiscal Year Research-status Report
神経型リソソーム病とパーキンソン病に共通する新たな神経病態メカニズムの解明
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19K08288
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
松田 純子 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60363149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 悦子 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70378610) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スフィンゴ脂質 / リソソーム病 / パーキンソン病 / プロサポシン |
Outline of Annual Research Achievements |
プロサポシン (PSAP) は、スフィンゴ脂質のリソソームにおける分解において酵素と共に必要な疎水性糖タンパク質サポシン (SAP-A, B, C, D) の前駆体タンパク質である。SAP-A、SAP-B、SAP-Cの変異は、それぞれ特徴的なスフィンゴ脂質が蓄積する小児期発症の神経型スフィンゴリピドーシスを引き起こす。我々はSAP-Dの変異がパーキンソン病を引き起こすことを世界に先駆けて報告している (Oji et al, Brain, 2020)。本研究では、我々の作製したSAP-D変異マウス (Matsuda et al, Human Mol Genet, 2004) を用いて、PSAPのSAP-D領域の変異がドパミンニューロンの変性脱落を引き起こす分子メカニズムを明らかにすることを目指している。本年度は、サポシンDノックアウトマウスの脳組織を用いて、比較プロテオーム解析を行った。その結果、有意に変動する34個のタンパク質を同定することができた。その中で特に有意な増加を認めたプロサポシン(PSAP)、プログラニューリン(PGRN)、カテプシンB(CTSB)に着目して、PSAP抗体による免疫沈降を行った所、PGRN、CTSBがPSAPと共沈してくることが確認できた。昨年までの研究で、サポシンDノックアウトマウスでは、変異PSAPが神経細胞内にオリゴマー化して異常蓄積することが明らかになっており、相互作用分子であるPGRN、CTSBの細胞内動態の異常が神経細胞変性に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サポシンDノックアウトマウスの脳組織を用いて、比較プロテオーム解析を行い、有意に変動する34個のタンパク質を同定することができた。その中で特に有意な増加を認めたプロサポシン(PSAP)、プログラニューリン(PGRN)、カテプシンB(CTSB)に着目して、PSAP抗体による免疫沈降を行った所、PGRN、CTSBがPSAPと共沈してくることが確認できた。昨年までの研究で、サポシンDノックアウトマウスでは、変異PSAPが神経細胞内にオリゴマー化して異常蓄積することが明らかになっており、相互作用分子であるPGRN、CTSBの細胞内動態の異常が神経細胞変性に関与している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
サポシンDノックアウトマウスおよびプロサポシンノックアウトマウスの脳組織から初代培養した神経細胞、クリア細胞(マイクログリア、アストログリア)を用いて、神経細胞とグリア細胞の共培養を行い、プロサポシン、プログラニューリン、カテプシンBの細胞間および細胞内の輸送異常を解析する。
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