2021 Fiscal Year Research-status Report
上皮の癒合破綻によって発症する二分脊椎や口蓋裂などに共通する病因の解明
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19K08291
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
持田 京子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 流動研究員 (00834417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 千春 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 主任研究員 (60360666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口蓋裂疾患 / 上皮癒合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、先天性疾患である二分脊椎と口蓋裂疾患の発症機序が同一のメカニズム、つまり「上皮癒合の破綻」に起因するものではないか、という仮説を検証する課題である。これまで我々の研究成果から、マウス Grainyhead-like3遺伝子(Grhl3遺伝子)を欠失することで将来の皮膚となる表皮細胞の分化や表皮細胞動態に異常が見られ、結果、二分脊椎を発症することを明らかにしてきた。前年度には、Grhl3遺伝子ホモ欠損胚やさらにGrhl3座位に修飾したマウス胎児を用いて、口蓋裂の発症の有無を検証を行なったが、Grhl3遺伝子ホモ欠損マウスや関連マウスでは、口蓋裂(口唇裂を含む)は発症しないことが分かった。そこで、今年度はGRHL3因子とタンパク間相互作用する因子を網羅的に同定し、生体内でGRHL3因子と協調的に働く因子を抽出し、最終的にGrhl3因子と結合因子のダブル変異マウスにおいて口蓋裂を発症するのか検討することにした。 まずGRHL3因子とタンパク間相互作用する因子の同定を行なった結果、脱ユビキチン化酵素の一つである、USP39因子が同定された。USP39因子は、脱ユビキチン化酵素の活性を持ち、かつ下流因子に対してスプライシングレベルでの制御を行うことが知られている。そこで、USP39とGRHL3とのダブル変異マウスの表現型解析から、USP39因子は脱ユビキチン化酵素の働きにより、二分脊椎を含む、様々な形態形成過程で協調的に働くことが明らかとなった。これら研究結果は、今年度、国際雑誌に受理された (Commnications Biology; in press)。来年度以降、これらダブル変異マウスを用いて、口蓋裂疾患の発症の有無の検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
GRHL3因子とタンパク間相互作用する因子の同定に成功し、それらダブル変異マウスの作製、表現型解析を終了できた。これらの研究成果は国際誌に報告することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
GRHL3因子と相互作用するタンパクは、脱ユビキチン化酵素であるUSP39因子とのダブル変異マウス胎児における口唇口蓋裂の発症の有無を検証する。 また、USP39因子以外に、GRHL3因子とタンパク間相互作用する複数のタンパク質を同定している。今後、これらの因子の発現解析などを行い、必要に応じて遺伝子欠損マウスを作製し、GRHL3因子との関係を明らかにした後、口唇口蓋裂の発症有無を検討する。
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Causes of Carryover |
各種ダブル変異マウスを作製しつつ、繁殖し、匹数をふやすのに時間を要したため、次年度に持ち越した研究費が生じた。
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