2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Novel CAR-T cell with NK cell-like specificity against refractory cancer
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19K08317
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
今井 千速 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90419284)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キメラ抗原受容体 / NK細胞 / CAR-T細胞 / NK細胞受容体 / NKp44 / がん免疫療法 / NKG2D |
Outline of Annual Research Achievements |
白血病・リンパ腫で画期的な治療効果をもたらしているキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を難治性固形腫瘍の治療に広げるためには、造血器腫瘍におけるものからさらに一歩進んだ安全性の確保が重要である。造血器腫瘍における表面抗原は造血細胞に限定されているのに対して、固形腫瘍で標的にする抗原の多くは正常カウンターパートである組織・臓器に低レベルで発現している場合があるためである。 本研究では、(ⅰ)抗原特異的抑制性CARの新規開発(正常組織を守るCAR)、(ⅱ)NKp44-CARにおけるリガンドの探索、(ⅲ)NK細胞型CARの新規開発(NKG2D)とライブラリー化(標的抗原ロス対策)、について検討している。現在までに、3つに分けて計画した研究目的に沿って研究が進んでいるが、機能解析に移りやや遅れが生じている。 以上の通り、本研究ではCAR-T療法を固形腫瘍に広げ、かつ有効性を改善するための種々の取り組みを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CAR-T細胞療法における予期せぬ正常組織への傷害作用を軽減するために抑制効果を持つ受容体の作成とCAR遺伝子との同時発現について検討した。抑制受容体遺伝子は各種抑制性受容体の細胞内シグナルドメインおよび免疫細胞関連分子の各ドメインを利用し作成し、発現ベクターへの組み込みは完了した。単独でT細胞に遺伝子導入した場合の細胞表面発現のチェックは完了し、機能解析について検討しているがやや難航している。 NKp44-CARにおけるリガンドについては、PCNA、PDGF-DD、Nidogen-1について検討しており、また探索的評価についても計画中である。 さらに、CAR-T細胞療法における標的抗原ロスによる再発への戦略として、本研究では複数標的ターゲティングについて検討している。2つ以上のCARを発現するCAR-T細胞を作成するため、新たなNK受容体関連CAR遺伝子をいくつか新規作成済みである。新規作成したNKG2D-CARについて、単体としての機能解析を実施中である。また、古典的に使用されているHER2抗原に対する特異的scFvを用いた抗HER2-CARおよび4-1BBシグナルを用いた第2世代CARも作成した。遺伝子コンストラクトの配列は新規であるため、このCARについても単体での評価を実施中で、高い機能を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに検討を進める。新規作成CARの単体評価を完了させ、かつ、これまでの研究および本研究で作成したNKp44-CAR、NKp30-CAR、NKp80-CAR、PD1-CAR、CD19-CAR、HER2-CAR、および現在解析中のX受容体を用いた新規CARを2つ組み合わせて抗原ロス、低発現細胞の出現を防ぐ戦略を検討する予定である。Dual targeting strategyにおける具体的な方法としてはbi-cistronic vectorの開発が望ましいが、まずは適切な組み合わせの検討が優先されるため、2種のCAR-T細胞の混合使用、もしくはParallel infectionによるDouble CAR-expressing cellの作成を計画している。
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Causes of Carryover |
年度末の物品購入でのタイムラグのために、わずかな差が生じたと思われる。
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