2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of therapeutic targets for childhood leukemia based on in vitro drug sensitivity
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19K08318
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
坂口 公祥 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00402280)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤反応性 / 白血病 / 遺伝子 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
in vitro薬剤感受性試験で感受性が判明している9つの白血病細胞株と12症例から得られた白血病細胞からmRNAを抽出した。しかし、臨床検体のうち3症例は十分なmRNAが得られず、これ以上の解析を行わなかった。結果的に9つの白血病細胞株と9症例の白血病細胞の合計18検体から抽出したmRNAを次世代シークエンサーを用いてトランスクリプトーム解析を行い、融合遺伝子や遺伝子発現の解析を行った。 今回解析した18検体にはBCR-ABL1やETV6-RUNX1のような既知の融合遺伝子を有するものが含まれており、BCR-ABL1やETV6-RUNX1ともに検出が可能であったことから融合遺伝子解析としては十分に実施できたと考えられる。しかし、in vitro薬剤感受性試験で認められた分子標的薬に対する高感受性を説明できる融合遺伝子は既知のBCR-ABL1しか検出されなかった。 このため発現解析結果を確認していったが、分子標的薬に対して高感受性を有することと標的となり得る遺伝子のmRNA発現量との間には相関はなかった。 また、遺伝子変異解析の結果に関しては時間的な都合により、十分な検討ができなかった。 これらの理由により当初予測していた分子標的薬に対してin vitroで薬剤感受性を有する白血病細胞には標的となり得る融合遺伝子が存在するという仮説は否定的となった。このことから、2020年度分は十分な進捗ではなかったと判断し、2021年度にはこれまでの解析で得られた結果をもとしたさまざまな視点からの解析を中心とし、可能であれば別のコホートでの解析も行ったり、今回の検体からDNAを抽出し、エクソーム解析などを追加する方針とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度もトランスクリプトーム解析により分子標的薬に対する薬剤感受性と関連のある融合遺伝子が検出された場合は、トランスクリプトーム解析の結果をもとに融合遺伝子のDNA配列を決定するつもりであった。しかし、融合遺伝子が検出されなかったため、この作業を行うことができなかった。この対策のためにトランスクリプトーム解析の結果をもとに遺伝子発現解析や遺伝子変異解析を行った。しかし、遺伝子変異解析でも分子標的薬と関連のある遺伝子の発現量の増減は確認できなかった。 検体数を2019年度よりも増やして解析を行ったにもかかわらず、新たに治療標的となるような融合遺伝子や薬剤の標的となる遺伝子発現の増加を確認できなかったことから、このような解析のみでは十分な結果は得られない可能性を考えた。遺伝子変異解析はやはり時間的な都合上、十分解析が済んでいないこと、また代替手段も含め、有意な結果を得られていないことは進捗状況としてはやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には白血病細胞株9株と9症例の白血病細胞の合計18検体で解析を行ったが、分子標的薬の治療標的となりうる新規融合遺伝子の発見や遺伝子発現の増減に関しては有意な結果を得ることができなかった。2019年度をあわせると27検体での解析となったが、2019年度に解析した検体は解析不良のものが多かったとはいえ、検体数を増やして解析を行っても有意な結果を得ることができなかった。 このため、代替の対応策として分子標的薬のみならず、他の薬剤感受性に影響を与える可能性のある遺伝子の解析に切り替えて、すでに得られている結果をもとに検討を行う方が有意な結果を得やすいのではないかと考えている。 これらの他にもmRNAからのトランスクリプトーム解析にこだわらず、既存の検体からDNAを抽出し、エクソーム解析を追加することも検討している。 また、2020年7月で研究期間の終了するJPLSG ALL-R14では59症例で51検体においてin vitro薬剤感受性試験を行っており、この余剰検体を利用すれば、薬剤感受性試験結果に影響を及ぼす遺伝子の解析も行うことができる。ただし、こちらは多施設共同研究グループに研究の実施許可を得る必要があるため、実施許可を得られるよう対応を行っていく。許可が得られれば次世代シークエンサーを用いて融合遺伝子解析や遺伝子発現解析などを行って、薬剤感受性試験結果に影響を及ぼす遺伝子を解明していく。
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Causes of Carryover |
2020年度は成果の発表を行うには時期尚早であり、また新型コロナウイルス感染症のまん延防止のために出張による学会活動がなく、旅費の請求を行わなかった。 また、すでに研究室で所有していた消耗品を使用したため、消耗品の購入も要しなかった。 これらの理由から2020年度に交付された助成金と2021年度の助成金を合わせ、2021年度にも次世代シークエンサーを用いて追加解析を行うことが可能な体制をとした方が有益と判断した。
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[Journal Article] Association of aberrant ASNS imprinting with asparaginase sensitivity and chromosomal abnormality in childhood BCP-ALL2020
Author(s)
Atsushi Watanabe, Kunio Miyake, Jessica Nordlund, Ann-Christine Syvanen, Louise van der Weyden, Hiroaki Honda, Norimasa Yamasaki, Akiko Nagamachi, Toshiya Inaba, Tomokatsu Ikawa, Kevin Y Urayama, Nobutaka Kiyokawa, Akira Ohara, Shunsuke Kimura, Yasuo Kubota, Junko Takita, Hiroaki Goto, Kimiyoshi Sakaguchi, et al.
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Journal Title
Blood
Volume: 136
Pages: 2319~2333
DOI
Peer Reviewed
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