2021 Fiscal Year Research-status Report
成体生理機能における胎生期形成DNAメチル化修飾の役割
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19K08324
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡野 正樹 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (50360863)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を達成するため、内在性のde novoメチル化酵素遺伝子内部にスプライシング受容配列と転写伸長停止配列を含むカセットを挿入した遺伝子改変マウス系統を作製する。ひとつの問題点として、転写伸長停止配列を挿入する対象ゲノム領域は反復配列に富んでおり、CRISPRノックインに利用できるゲノム領域の範囲が制限されている。一方、挿入するカセットは蛍光タンパク質マーカー遺伝子などを含め9kbと比較的大きなサイズとなるため、意図した位置でカセットの両端が精度よくゲノム領域と繋がるか、また、十分に高い効率で組換えが起きるかどうかの懸念があった。そこで原案どおりのカセット(9kb)に加え、最小限の因子から構成されるカセット(3.5kb)を含めた3種類のノックインコンストラクトを作製し、マウスES細胞を用いた相同組換えのパイロット実験を実施した。最小限因子からなる3.5kbカセットを用いたノックイン実験系では、1次スクリーニング陽性となったクローンのうち9割以上でカセットの両端で正しく組換えが起きていたのに対して、すべての構成因子をふくむ9kbカセットを用いた実験系では6割程度に低下したことから、挿入配列サイズがノックインの効率または精度に影響することが示唆された。一方、適切に選別・確認する方法を組み合わせれば、原案の9kbカセットを用いた系でも実用に耐えうる効率で実施できることも明らかになった。並行してCre-loxP反応によるカセット除去などカセットの構成因子・配列の動作を検証しており、一部を残して、おむね動作確認ができている。現在、de novoメチル化酵素遺伝子のヘテロ型ES細胞にノックインをおこない、挿入カセットによる内在性遺伝子の転写産物トラップ・伸長停止効率を比較検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はおおむね予定どおりに進捗したが、前年度までの遅れを取り戻すにはいたっておらず、全体としての進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
一部残っているノックインコンストラクトの動作確認を完了し、目的とする遺伝子改変マウス系統を作製する。並行して、他の既存マウス系統の交配をすすめる。本研究の目標である、胎生期における機能欠損・回復実験を実施する。
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Causes of Carryover |
全体の進捗が遅れているため。遺伝子改変マウス作製にともなう技術支援費用、動物実験費用に使用する
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