2020 Fiscal Year Research-status Report
PDGFRB異常による新規過成長症候群の病態解明と治療法開発
Project/Area Number |
19K08329
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
武内 俊樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 博庸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70445310)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 冠状動脈瘤 / 脳動脈瘤 / 血小板由来成長因子受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内外から、PDGFRB(血小板由来成長因子受容体β)の活性化型遺伝子変異が、生殖細胞系列のみならず体細胞変異によっても脳動脈瘤形成の原因となるという報告が続いた。このことから、PGDFRB関連過成長症候群についても、血管表現型、特に、生命予後に直結する脳動脈および冠状動脈に生じる動脈瘤の範囲と進行の速度を明らかにすることが急務と考えられた。そこで、研究代表者らが2015年に報告したPGDFRBヘテロ接合性申請突円変異(p.Pro584Arg)を持つ本疾患患者2名を対象に、中枢神経および心臓の血管画像の変化を経時的に解析した。その結果、これらの患者では、脳底動脈、椎骨動脈、冠状動脈の拡張が10代から20代前半にかけて進行していることが見いだされた。加えて、椎骨-脳底動脈瘤においては、動脈壁の壁内血栓を伴う著明な内腔の拡張(dolichoectasis)が見られ、血管型のエーラスダンロス症候群やLoeys-Dietz症候群の既知の血管病理像との類似性が示唆された。研究結果を、研究代表者を筆頭著者として、臨床遺伝学の国際学会誌に発表した(Takenouchi et al. Am J Med Genet A. 2021;185(3):999-1003.)。特に脳底動脈に生じる巨大脳動脈瘤は、脳神経外科的介入によっても救命が難しい可能性があるため、病初期からの血圧の最適なコントロールのみならず、チロシンキナーゼ阻害剤による予防的治療を含めて、本疾患血管病変の進行抑制についての研究の必要性が改めて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、患者由来の疾患特異的iPS細胞を用いた治療開発を進めており、PDGFRBの遺伝子型 (p.Trp566Argおよびp.Pro584Arg) の差による過成長や骨格症状の経時的変化を国内外の患者について解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って、PDGFRB変異 (p.Trp566Argおよびp.Pro584Arg) を導入したノックインマウスの作出に着手しつつ、将来の医師主導治験に備えて、PDGFRB関連過成長症候群患者の蓄積を行う。約10人の患者を確保した段階で、診断基準と重症度基準を作成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響により次年度使用額が生じた。 2021年度予算に合算して本研究に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)