2019 Fiscal Year Research-status Report
Sterile Inflammation - A novel approach to preterm birth -
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19K08331
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
島 義雄 日本医科大学, 医学部, 教授 (70714765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 靖幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (50644580)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 早産 / 無菌性炎症 / HMGB1 / 樹状細胞 / NKT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に、細菌感染に由来する絨毛膜羊膜炎(chorioamnionotis: CAM)は早産発症の主要な原因とされてきたが、近年このCAMを伴わない、原因不明早産の事例が多く報告されている。本研究ではヒト胎盤組織の解析を中心として、このCAMを伴わない原因不明早産の免疫学的解析を主眼としている。 先行研究では、CAMを伴わない後期早産では自然免疫担当細胞である樹状細胞、invariant natural killer T細胞(iNKT細胞)の脱落膜への浸潤を見出し、早産発症に何らかの影響を与え得ることをしてきした(Negishi and Shima, et al. Am. J. Reprod, Immunol., 2017)。また学会発表(「自然炎症としての後期早産」第62回日本新生児成育医学会, 2017.10.12-12, 東京)を行っている。 本研究期間ではこのCAMを伴わない早産胎盤解析をさらに押し進めている。その中でCAMを伴わない早産について、児の疾病、生命予後を大きく左右する超早期早産、中期早産に着目し、これらを陣痛、破水の有無により分類、CAMを伴わない陣痛、前期破水のメカニズムに着目している。その結果脱落膜中の免疫細胞、非免疫細胞には内因性抗原の一つであり無菌性炎症を惹起し得るhigh mobility group box 1(HMGB1)の集積が認められ、その機能について現在検討中でる。さらにHMGB1が早産児の慢性肺障害発症予測因子になる可能性も検討をしている。 以上のように、原因不明早産のメカニズム解析および母児に対する無菌性炎症の影響を検討中であり、新規治療法、児の疾病予後因子発見を目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在原因不明早産発症と内因性抗原HMGB1との関連性について、新しい知見が得られ、論文を作成中である。 また早産の検索のなかで、新生児の慢性肺障害とHMGB1の関連についても研究が波及し、当初の計画よりも進展していると考えられる。この結果も現在論文を作成中であり、また第65回日本新生児成育医学会・学術集会で発表予定である(演題名「自然炎症(Homeostatic inflammation)からみた早産児の慢性肺障害」2020. 7.18-20、札幌)。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究期間において、CAMを伴わない原因不明早産には、異常活性化した樹状細胞やNKT細胞に起因する炎症が重要な働きを担うこと、さらに内因性因子であるHMGB1がその炎症の増悪因子になる可能性を見出した。 今後は脱落膜から上記免疫細胞をそれぞれ分離し、共培養などのex vivoの実験により、異常活性化した免疫細胞を制御し得る因子の抽出を試みる予定である。現在、いくつかの候補分子で実験を行っている。
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Causes of Carryover |
研究遂行にあたり、研究費は主に各種抗体購入に当てている。本年度は無駄のないよう、効率的に抗体購入、使用を行ったため、次年度使用額が生じたものと考える。
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Research Products
(4 results)