2020 Fiscal Year Research-status Report
Sterile Inflammation - A novel approach to preterm birth -
Project/Area Number |
19K08331
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
島 義雄 日本医科大学, 医学部, 教授 (70714765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 靖幸 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50644580)
桑原 慶充 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40373013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無菌性炎症 / 自然免疫 / 早産 / マクロファージ / 樹状細胞 / NKT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞/組織に及んだ損傷の修復やストレスからの回復を目的に、病原体が関与することなしに発動する無菌性炎症が、従来「詳細不明」と分類せざるを得なかった早産の発症機序となっている可能性について検証する。このため、胎盤組織中に存在する免疫担当細胞群や関連分子の発現パターンを解析し、無菌性炎症の展開様式を明らかにするとともに、その過程における介入作用点を見出すことで、新規の早産診断マーカーや予防/治療方法の確立も模索している。 本研究期間において、明らかな病原体感染を伴わないヒト早産の陣痛、破水発症起点には、High-mobility group box 1(HMGB1)と呼ばれるアラーミンの放出がその発症に深く関与し、さらに自然免疫系細胞(マクロファージ、樹状細胞、invariant natural killer T (iNKT)細胞が異常活性している所見を得た。このことは従来原因不明に分類せざるを得なかった早産は、内因性抗原による無菌性炎症に起因もしくは増悪因子となり得ることを示唆する。さらに興味深いことに、一般的には流産を繰り返す不育症で使用されるヘパリンは、このアラーミンに作用し抗炎症作用を発揮する可能性も示唆された。このことはヘパリンの新たな作用点発見にもつながると考えられている。これらの結果より、原因不明早産には無菌性炎症、自然免疫系細胞、さらにはこれらをターゲットとすることが新たな治療作用点となり得ることも示唆された。以上のように、HMGB1が炎症開始/増悪起点の因子になり得ることをふまえ、現在早産にて出生した児の臍帯血および血清中のHMGB1の検索も行い、早産児における呼吸障害発症とHMGB1の相関についても検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究期間において、無菌性炎症と早産発症についての論文を発表している(M. Kato, Y. Negishi, Y. Shima, et al. Inappropriate activation of invariant natural killer T cells and antigen-presenting cells with the elevation of HMGB1 in preterm births without acute chorioamnionitis. Am. J. Reprod. Immunol. 2020, e13330)。さらにこの考えを早産にて出生した児にも応用し、臍帯血・末梢血中のアラーミン測定を行い論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において、明らかな病原体感染を伴わない原因不明早産には、自然免疫系細胞の異常活性化やHMGB1を始めとするアラーミンが深く関与する可能性が示唆された。さらに本研究ではヘパリンが自然免疫系の活性抑制を示し得ることが示唆されており、胎盤から採取した免疫細胞とアラーミン、ヘパリンなどの共培養実験(ex vivo)も視野に入れている。また今後このアラーミンによって惹起し得る炎症をキーワードとし、早産児への影響や、妊娠中の早産以外の合併症(子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧症候群、不育症)にも検索範囲を広げたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究遂行にあたり、研究費は主に各種抗体購入に当てている。本年度は無駄のないよう、効率的に抗体購入、使用を行ったため、次年度使用額が生じたものと考える。
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Research Products
(4 results)