2019 Fiscal Year Research-status Report
結合型肺炎球菌ワクチン低応答例の免疫学および細菌学的要因の検討と早期同定法の確立
Project/Area Number |
19K08333
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
保科 隆之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30398078)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 将人 産業医科大学, 医学部, 助教 (80566414)
本村 良知 九州大学, 大学病院, 助教 (10737175)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 小児科学 / 感染症学 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎球菌による侵襲性感染症に罹患する小児は、それを予防するために導入された結合型肺炎球菌ワクチン(PCV)を接種することによって激減した。一方で、ワクチンを接種したにもかかわらず、免疫応答が不十分で侵襲性感染症を発症する症例も少なからず存在する。ワクチンに対する免疫応答が不十分な症例の代表として、免疫不全状態の児や早産児が挙げられる。 本研究は、フローサイトメトリーを用いて、免疫応答が低下していることが予想される造血幹細胞移植後の児および早産児および健常乳児から採取した血液中のT細胞およびB細胞サブセットの詳細な解析を行い、PCV接種後の免疫低応答例(肺炎球菌特異的IgG・IgM抗体価低値)で割合が低下しているT細胞およびB細胞サブセットを特定することで、宿主側の低応答の要因を探ること、および免疫低応答の要因としての肺炎球菌の上気道での常在や気道細菌叢の変化などの細菌の関与を探るために、16S ribosomal RNA遺伝子を利用した上気道細菌叢の網羅的解析を行い、正常応答例と低応答例では異なる細菌叢パターンが得られるかを検討することを目的としている。 令和元年度は、対象となる症例から採取した血液検体を用いて、リンパ球サブセット解析および肺炎球菌特異的抗体価の測定を行った。研究参加の同意が得られた対象者数がまだ少なく、詳細な結果の分析が行えていないが、造血幹細胞移植後の症例のうち、メモリーT細胞数およびメモリーB細胞数が少ない症例において、肺炎球菌特異的抗体価が低値である傾向が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度から研究を開始しており、数は少ないものの、対象症例数が増え、解析も可能となりつつあるため、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、対象症例を増やし、検討すべき項目の測定およびデータ解析を行い、得られた結果の解釈を行う。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、当初の予定よりも、実験試薬および実験器具に係る費用が少なかったことが考えられる。 一方、次年度以降、実験やデータ解析に係る費用については不確定な部分もあるため、次年度予算に加えて前年度の繰越金を使用する。
|
Research Products
(1 results)