2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel drugs for tuberous sclerosis complex
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19K08334
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
久恒 智博 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主席研究員 (10321803)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結節性硬化症 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
結節性硬化症(Tuberous Sclerosis Complex: TSC)は、全身に過誤腫ができる遺伝性疾患である。その患者は、乳児期から始まる難治性のてんかんや知的障害、自閉症などの神経症状を呈する。中でもてんかんは患者のQOLに関わる大きな問題となっている。これまでにmTORの活性化がてんかんの発症と関わることが知られているが、なぜmTORの活性化がてんかんを発症するのかその詳細は明らかとなっていない。そこで本研究はてんかん発症メカニズムを明らかにして新規治療薬を開発することを目指した。 前年度までに、ヒトiPS細胞由来のTsc2欠損型神経細胞(iPS-Tsc2 neuron)にみられる同期的な発火パターンを明らかにした。またこの神経活動パターンを生み出す分子メカニズムとして、電位依存性カルシウムチャネルの異常が関与することを示した。本年度は、電位依存性カルシウムチャネルからのカルシウム流入の増大がiPS-Tsc2 neuronの軸索伸長の増大や神経伝達効率に関与する転写因子CREBの持続的な活性化を引き起こすことを明らかにした。さらに、野生型神経細胞への活性化型Rhebの強制発現で電位依存性カルシウムチャネルからの流入が増大することも明らかにした。以上の結果をまとめて「TSCのてんかん発症にmTORC1による細胞外カルシウム流入の増大が関与する」という内容の論文を掲載することができた。 さらに本年度はTSCの患者の神経症状のバイオマーカーの確立のためにiPS-Tsc2細胞の培養上清に存在するmiRNAを解析し、野生型に比べてiPS-Tsc2細胞に多く発現する複数個のmiRNAを同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TSCのてんかんの発症機序として、mTORの恒常的な活性化が電位依存性カルシウムチャネルの発現上昇を引き起こすことを明らかにした。さらにカルシウムチャネルの発現上昇の結果、細胞外からのカルシウム流入が増え、神経軸索伸長の増大や転写因子CREBの持続的活性化を引き起こして、同期的発火が生じる可能性を示した。これらの結果をまとめて論文に掲載することができた。さらに本年度はTSC2欠損型iPS細胞の培養上清で増加するmiRNAを複数明らかにすることができたため、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにTSC2欠損型iPS細胞の培養上清で増加するmiRNAを複数明らかにしたため、今後患者の血清における該当miRNAの量を調べ、患者の神経症状とmiRNAの発現量の関係を明らかにしてTSCの神経症状のバイオマーカーとなるか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度、患者から採血したサンプルからRNA抽出を行いmiRNAの解析を行う予定であり、そのためのqPCR関連試薬の購入費用に充てる。具体的にはTSC2欠損型iPS細胞の培養上清で増加するmiRNAの量を患者の血清において定量し、患者の神経症状とmiRNAの発現量の関係を明らかにしてTSCの神経症状のバイオマーカーとなるか検討する。
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Research Products
(2 results)