2019 Fiscal Year Research-status Report
小児特発性ネフローゼ症候群におけるSMPDL-3bの意義の解明
Project/Area Number |
19K08338
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
渡邊 祥二郎 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (80597196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 完 弘前大学, 教育学部, 教授 (50271820)
今泉 忠淳 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90232602)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ネフローゼ症候群 / ポドサイト / SMPDL3b / TLR3 / IL6 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児難治性ネフローゼ症候群における腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)上のsphingomyelin phosphodiesterase acid-like 3b (SMPDL-3b)の病的意義を調べるため、2019年4月よりポドサイトの培養実験を開始した。 まず培養ヒトポドサイトにおけるSMPDL3bの発現をPCRおよび蛍光抗体法による免疫染色を用いて遺伝子、蛋白レベルで確認した。 次に小児患者におけるネフローゼ症候群がウイルス感染を契機にしばしば再発することを念頭に、培養ヒトポドサイトにウイルスのdsRNAと同様の活性をもつpolyinosinic-polycytidylic acid (poly I:C)を添加し、Toll like receptor 3(TLR3)を起点とする自然免疫の動態を、IFNβ、IL6, RIG-I, MDA5のmRNAおよび蛋白レベルでそれぞれPCR, western blot法を用いて確認した。ヒト培養ポドサイトにおいて、Poly IC添加によりTLR3を起点とする自然免疫システムが活性化することが確認された。さらにTLR3を起点とする培養ヒトポドサイトにおけるSMPDL3bの役割を確認するため、siRNAをもちいたRNA干渉法によりSMPDL3bの発現をノックダウンした状態で同様にPoly IC添加によるTLR3系の自然免疫について検討を行なった。現時点では予備実験の段階であるが、IL6のmRNAの発現を抑制する傾向が認められた。さらなる追加実験を行なう予定である。 細胞実験と並行して、小児ネフローゼ症候群患者の尿中SMPDL3bの排泄量についての検討を質量分析をもちいて行なった。患者においては再発中には尿中排泄が少なく、寛解により尿中排泄が回復することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞実験を開始して、順調にPCR等の実験結果が得られている。SMPDL3bをsiRNAでノックダウンした効果・影響については現時点では有意差をもって確認はできていないが、当初の予想に反して、IL6の発現を抑える傾向が認められている。SMPDL3bのみならずヒトポドサイトにおけるIL6の病的あるいは保護的な意義も調べる必要があると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
SMPDL3bのノックダウン状態でのPoly IC添加によるTLR3を起点とする自然免疫シグナルの状態について解析を進める。リツキシマブの直接標的の可能性としてのSMPDL3bの意義を確かめるため、SMPDL3bのノックダウンの有無によるリツキシマブ添加後の細胞変化を、同様にTLR3系について解析を進める。 また自然免疫と細胞骨格との関連を調べるため、Poly IC添加によるTLR3系の活性化状態と細胞骨格制御因子であるsynaptopodinのリン酸化状態を質量分析を用いて調べる。
|
Causes of Carryover |
分担研究者2 (田中 完)未使用分が100000円あり次年度使用額となった。2020年度に有効に使わせていただく予定である。各種抗体、消耗品などを予定している。
|