2022 Fiscal Year Research-status Report
小児特発性ネフローゼ症候群におけるSMPDL-3bの意義の解明
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19K08338
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡邊 祥二郎 愛媛大学, 医学系研究科, 特任講師 (80597196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 完 弘前大学, 教育学部, 教授 (50271820)
今泉 忠淳 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90232602)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SMPDL3b |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は愛媛大学小児科におけるヒト腎臓糸球体上皮細胞の培養準備を行い、実験条件の最適化をおこなった。具体的には培地、培養器の条件を整え、前任地弘前大学より送付受け継いだ細胞を培養し、分化していることを確認した。 また新たな方法として患者排泄尿中podocyte由来の核酸を抽出し、real time PCR法にて定量的に解析を行なうための予備実験を行なった。同意の得られた患者尿を速やかに遠心し、沈渣をの中からRNA抽出キットを用いてRNA抽出を行なった。本方法を用いることにより非侵襲的に目的遺伝子の発現状態を知ることができ、SMPDL3bの発現状態と疾患活動性の関連をより正確に知ることができる可能性がしめされた。また本方法を用いることにより小児特発性ネフローゼ症候群だけではなく、成人の糖尿病性腎症、IgA腎症、ループス腎炎など糸球体疾患の非侵襲的な尿中バイオマーカーの開発への可能性が示された。また同様の方法で患者リンパ球のSMPDL3b遺伝子発現を比較することで、ネフローゼ症候群の病態として全身の免疫異常か、腎局所の異常かあるいはその両者が関わっているのか、病態解明への手がかりとなりうることがわかった。現在、愛媛大学附属病院における患者さんの検体を用いるため学内倫理申請への諮問を経て、血液、尿、腎生検の検体を収集、保管をおこなっている。2021年4月に赴任以来、徐々に検体数が増えてきており、最終年度における解析にむけて準備を整えているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度までの研究成果として、自然免疫系(特にToll like receptor3:TLR3)とSMPDL3bとの関わりについてを2021年に英文論文として発表することができたが、2021年4月に転勤となり、細胞実験の準備および検体を適切に保存管理する体制を整えることに時間を要している。また尿中podocyte由来の核酸を用いる新しい手法も検討しており、その予備実験に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト培養糸球体上皮細胞のSMPDL3bの発現を抑制(ノックダウン)した条件でTLR3刺激を行ない、RhoAなどの細胞骨格関連蛋白のリン酸化状態の変化を調べることで、自然免疫系の異常から細胞骨格制御異常を来たすメカニズムを示す予定である。また患者尿中podocyte由来のSMPDL3b mRNAの発現状態を定量的に行ない、特発性ネフローゼ症候群におけるSMPDL3bの役割についてさらなる解析を行なう方針である。同様に、患者リンパ球をもちいたSMPDL3bの発現を比較し、小児特発性ネフローゼ症候群の病態がより全身的なものか腎局所の異常によるものかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
細胞実験の準備および尿中排泄podocyteより核酸を抽出する予備実験に時間を要しており、自然免疫TLR3と細胞骨格への影響を調べるための細胞実験が遅れているため、物品購入も予定より低額となった。
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