2019 Fiscal Year Research-status Report
選択的オートファジーが気管支喘息発症の病態におよぼす役割
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19K08340
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村井 宏生 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (50464566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 勇成 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40303391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 選択的オートファジー / 気道上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は今回の基礎研究の元となる分化させたHBEC-KT細胞の培養を行った。当初、培地としてKeratinocyte-SFMを用いてAir liquid interface下で4週間から6週間の分化誘導を行ったものの、培養開始48時間後に上部dishをdryな状態にしたものの、airliftingが行われず、結果として重層化、分化誘導がなされなかった。そのため、培養細胞数、時間の調節を行うことで、最終的に、4.67cm^2(coster 6 well/plate)においては1.5X10^5cellをkeratinocyte SFM2.6ml培養。72時間の培養の後にmediumをpneumocult に変更し4週間でair-liftingを行うことで、air-liftingを誘導することができた。 次に、気管支喘息と深い関係が報告されているアレルゲン(アルテルナリア(ALT-E)、ダニ、YKL-40)やウイルスの主要成分であるPoly I:C、positive control としてLPSを用いてautophagyが誘導されるかどうかをウエスタンブロッティングにて測定した。autophagy の誘導の有無はLC3A:B比にて検討を行った。刺激はALT-E, LPS, YKL, Poly-IC(LMW, HMW)を用いた。濃度はそれぞれ、既存の報告を参考に、高濃度の刺激として、それぞれ50ug/ml,2ug/ml, 1ug/ml, 10ug/ml, 10ug/mlを用いた。その結果は、ALT-E, YKL, LPS,およびPoly I:C (LMW)でLC3 A:B比率でBがコントロール群と比較して高い傾向を若干認めるものの、有意な違いは認めなかった。その可能性として、air-lifting後の細胞は様々な種類の気道上皮細胞に分化しており、分化後の細胞の割合の違いによりばらつきが発生した可能性が考えられた。次に、気道上皮培養上清より各種刺激によるmiRNA分泌の測定を行った。candidate miRNAとして、preliminary studyである、アレルギー母児の母乳中miRNAの変化を元に,miR15B,21,23,595を選択したが、有意な違いは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の一ヶ月程度で終了する予定であったairliquid interface の確立に数ヶ月かかったこと、また、その培養までに1ヶ月以上かかることから当初の刺激実験までの時間が長くかかったためと考えられる。また、分化誘導後の細胞は様々な細胞の集合でありautophagyの反応性、分化誘導後の細胞比率の違いにより、大幅なvarianceが生じ、その解析、考察に時間がかかっててしまったことも原因として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、培養系の時間の短縮の必要性があることが考えられる。 1. air liquid interfaceで培養した細胞は、その分化誘導に時間がかかること、またvarianceが大きいことが考えられる。今後は、HBEC-KT単層(未分化)細胞を用いて一旦研究を進め、ある程度の方針が定まった時点で、特定の細胞にtargetを絞り、実験をすすめる。 2. 今回使用したcandidate miRNAはpreliminary studyにおいて、アレルギー母児にて増加していた、母乳中のmiRNAであり、autophagyと相関している可能性が必ずしもあるとは言えない。そのため、再度単層の細胞にて傾向を確認した後に、microarrayでその増減を再検する必要がある。 3. 今回、autophagyの増減に用いた刺激は粗抗原であり、当初の目的であるselective autophagyを誘導できるかどうかは不明である。そのため、selective autophagyで確認されるmiRNA分泌を同定するためにも一度selective autophagyの促進剤を用いて強制的にselective autophagyを引き起こすことができるかどうかを検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
計画通りに研究が進まなかったことより、物品購入費が少なかった。次年度は、本年度選択的オートファジーが関係する可能性が高い、Poly I:C (low molecular weight)や選択的オートファジー促進剤である、AICARやLYN刺激を行った気道上皮細胞を用いて特異的なmiRNAを同定するためにmicroarrayを行う予定である。
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