2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a risk evaluation system for spina bifida using spinal cord primordium derived from human induced pluripotent stem cells
Project/Area Number |
19K08342
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
二宮 裕將 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (40514237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 形態形成 / 奇形 / ヒト |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト胎児期の奇形発症過程を解析できる系として、ヒトiPS細胞から自立的な組織伸長形態形成を再現するin vitro系の確立を試みている。 1)細胞分化条件の検討:ヒトiPS細胞から誘導した細胞の分化をRT-qPCR、免疫蛍光法により検定した。SOX2, T等のマーカー遺伝子発現により細胞分化を確かめ、よりモデル動物胚に近い分化を示す誘導条件を採用した。また、Wnt5A, FGF8等の後極遺伝子発現を伸長組織で確認した。 2)細胞内局在因子の発現:組織伸長運動に必須とされるPCPシグナルの下流因子である非筋細胞MYOSIN IIがヒト伸長組織を構成する細胞に発現し、その活性化型が、モデル動物で見られるように細胞表面へ局在していることを示した。 3)伸長時の細胞挙動解析:有糸分裂阻害剤処理は組織伸長を阻害しなかった。よって本実験系においては、方向性のある有糸分裂の組織伸長への貢献は小さく、収斂伸長運動など細胞の並び替えが伸長の駆動力であることが示唆された。 4)薬剤曝露実験:メチル水銀による組織伸長抑制が、201B7の他に253G1と454E2のヒトiPS細胞系統由来の伸長組織でも再現できることを確認した。さらにメチル水銀以外の胎盤を通過する催奇性物質の組織伸長に対する影響も調べた。その結果、レチノイン酸が伸長を抑制するのに対し、エタノールは抑制しないことが示された。また、モデル動物で組織伸長に必要とされているFGFや前述の非筋細胞MYOSIN IIの特異的阻害剤はヒト組織伸長を阻害した。以上のことより、組織伸長の抑制作用は、再現性が高く、単なる細胞分裂阻害や一般的な細胞ストレス応答を反映するものではなく、形態形成運動に特化したアッセイ系であることが示された。このようにヒトin vitro組織伸長系の開発を着実に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞を用いた研究に関して、1)細胞分化条件の検討と4)薬剤曝露実験では目覚ましい成果を上げており、2)細胞内局在因子の発現と3)伸長時の細胞挙動解析も概ね順調に進展している。一方、比較対象としてのマウス実験に関しては、所属研究機関を変えたため、遅れている。よって、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトiPS細胞を用いた研究に関しては、組織伸長条件検討、組織極性・細胞局在因子の確認、伸長組織中の細胞挙動の直接観察など更なる解析を進める。また、現所属機関でモデル動物としてマウスを用いることは難しい状況であるが、Xenopus(研究代表者がその扱いを習熟している)を使うことは十分可能である。そこでin vivoおよびin vitroのモデル動物比較系として、マウスの代わりにXenopusを用いて実験を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:所属研究機関を変えたため、マウス実験系や分子生物学的実験など比較的多くの資金を必要とする実験の進行が多少遅れている。 使用計画:遅れている分子生物学的実験を積極的に進める。また、今後の推進方策の通り、マウスの代わりにXenopusを用いて実験を進めるので、マウス系に使う予定であった研究費をXenopus 実験に転用する。
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Research Products
(4 results)