2019 Fiscal Year Research-status Report
an new approach the pathogenesis of mental retardation from the abnormality of microglia by postnatal mental stress.
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19K08353
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
平澤 孝枝 帝京大学, 理工学部, 准教授 (10402083)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミクログリア / 生後環境 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
早期の生育環境が子の発達に大きな影響を与えることは古くから知られており、生後のストレス脆弱性やうつ病などの精神・神経疾患に影響を与えることは既に報告されている。これまでの申請者等の研究で、脳内免疫細胞のミクログリアは幼若期の環境で活性化が左右され、生後の神経細胞や脳内免疫システムの破綻を生み出している知見を得ている。 本研究では、決定された脳内免疫細胞の特性がどの位シナプスの可塑性や成熟に関わるのかその解明を目指す。上記の疾患が幼児期、すなわち脳内に侵入する時期の早期ミクログリアの神経-グリア相関の破綻にあると位置づけ、ミクログリアの異常が成熟脳のシナプス刈り込み異常に起因している事を証明する。 本年度は、母子分離ストレスをかけたストレス負荷マウスからのミクログリアの性質をFACS法にて同定を試みた。予備実験より、FACSソーターにて脳内に浸潤する単球由来細胞がミクログリアに分化する過程における特性を調べたところ、単球由来細胞CD45/CD11bの発現強度でミクログリアは四種の亜集団(A,B,C,D)に分けられ、全てミクログリア細胞のマーカーであるIba1陽性細胞である事が分かっている。 本年度の研究結果より、4つの亜集団のうちCの亜集団であるCD45low/CD11blowの割合が有意に増加していた。一方でIba1標識抗原の反応性に4亜集団では変化がなかった。Cの分画の性質を判別するためにさらに分画をしたところ、母子分離群おいてIba1high/CD11b highの分画が有意にストレス群で増加していた。MHC class II抗原では差がなかったが、F4/80はloeであった。この結果は免疫染色の結果と同様の結果となった。今後これらの特性をもったミクログリアの単離培養を試み神経-ニューロンとの関係性を見ることが必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに申請者の手法で90%以上の純度のミクログリアを分離する事が可能になり、FACSソーターにて脳内に浸潤する単球由来細胞がミクログリアに分化する過程における特性を調べた。その結果、単球由来細胞CD45/CD11bの発現強度でミクログリアは四種の亜集団(A,B,C,D)に分けられ、全てミクログリア細胞のマーカーであるIba1陽性細胞である事が分かっている。また、コントロール群ではミクログリアが従来染色性を持つF4/80陽性細胞(Iba1+/F4/80+)であるにも関わらず、ストレス群ではF4/80陰性細胞(Iba1+/F4/80-)であることが免疫染色法より分かった。 本年度の研究結果より、4つの亜集団のうちCの亜集団であるCD45low/CD11blowの割合がストレス群では有意に増加していた。一方で、Iba1標識抗原の反応性に4亜集団ではストレス群、コントロール群では変化がなかった。Cの分画の性質を判別するためにさらに分画をしたところ、ストレス群においてIba1high/CD11b highの分画が有意に増加していた。MHC class II抗原では差がなかったが、F4/80はlowであった。この結果は、免疫染色の結果と同様の結果となった。 今後これらの特性をもったミクログリアの単離培養を試み神経-ニューロンとの関係性を見ることが必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
幼若期精神ストレスに起因する発達期ミクログリアの異常と神経機能への影響を見る。幼若期精神ストレスによるミクログリアの機能異常についてシナプスの刈り込みの観点から解析する。ストレスを負荷した成熟後のミクログリアはニューロン-グリア相関の観点から見るために脳スライスによる単一ニューロンの可視化とミクログリアの染色よりシナプス刈り込みの可視化を行う。これまでの結果から作成したモデルマウスのミクログリアは活性化しているので、モデルマウスを固定後、脳スライスを作製し、ガラス電極にて蛍光色素を導入後、ミクログリアを免疫染色にて可視化する。その後、レーザー顕微鏡にてミクログリア、ニューロンのシナプス部の観察を行う。必要に応じて、可視化をより効率よく行うために、スライスの透明化、申請者が作製したIba1-EGFP Tg (Hirasawa T, et al. J Neurosci Res 81(3), 2005) マウスを用いて観察を行う。
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Research Products
(2 results)