2020 Fiscal Year Research-status Report
an new approach the pathogenesis of mental retardation from the abnormality of microglia by postnatal mental stress.
Project/Area Number |
19K08353
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
平澤 孝枝 帝京大学, 理工学部, 准教授 (10402083)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミクログリア / 母子分離ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
早期の生育環境が子の発達に大きな影響を与えることから、生後のストレス脆弱性やうつ病などの精神・神経疾患に影響を与える。これまでの申請者等の研究で、脳内免疫細胞のミクログリアは幼若期の環境で活性化が左右され、生後の神経細胞や脳内免疫システムの破綻を生み出している知見を得ている。本研究では、決定された脳内免疫細胞の特性がどの位シナプスの可塑性や成熟に関わるのかその解明を目指す。上記の疾患が幼児期、すなわち脳内に侵入する時期の早期ミクログリアの神経-グリア相関の破綻にあると位置づけ、ミクログリアの異常が成熟脳のシナプス刈り込み異常に起因している事を証明する。 これまでに申請者の手法で90%以上の純度のミクログリアを分離する事が可能になり、脳内に浸潤する単球由来細胞がミクログリアに分化する過程における特性を調べた。その結果、単球由来細胞CD45/CD11bの発現強度でミクログリアは四種の亜集団(A,B,C,D)に分けられ、全てミクログリア細胞のマーカーであるIba1陽性細胞である事が分かっている。 R2年度は母子分離ストレス群とコントロール群では比較をおこなった。コントロール群ではミクログリアが従来染色性を持つF4/80陽性細胞(Iba1+/F4/80+)であるにも関わらず、ストレス群ではF4/80陰性細胞(Iba1+/F4/80-)であることが免疫染色法より分かった。さらに、FACSによる解析で4つの亜集団に分類されることが分かったが、これらは産生時期の由来によって違っていることが分かった。この結果から、幼若期ストレスによってミクログリアの由来が卵黄嚢由来から骨髄由来に変化する事が示唆され、骨髄由来のミクログリアが活性化をしていることが示唆された。次年度はミクログリアの活性がシナプスにどう影響があるのかin vivo, in vitroの系で確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養条件下でストレスモデルを作成し、神経突起形成やそれにかかわる分子の解析をおこなった。初代培養神経細胞にコルチコステロン(CORT)を添加し、ストレスを負荷した疑似モデルを作成した。24時間CORT添加した神経細胞はその突起形成が阻害された。 さらにCORTを活性化型にするHSD1, HSD2の酵素の発現を調べたところ、アストロサイト、ミクログリア、ニューロンでは大きな差はなかった。H3のアセチル化を検討したところ、CORT刺激により、発現が増加していた。 本年度前期はコロナ禍による研究の停止期間があり、in vivoの実験系が進まないことがあったため、やや遅れていると判断した。 次年度以降、再び停止する可能性も視野に入れてin vitroの系も並行して進めながら、成熟後のミクログリアはニューロン-グリア相関を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
1)CORT刺激における神経突起の解析とミクログリアの効果・・・母子分離モデルによる解析も含め培養系でニューロン・ミクログリアの相関性を検討する。初代神経細胞培養におけるCORT刺激の神経突起形成関連分子の検討とミクログリア培養細胞による共培養、および放出分子添加による影響と検討する。2)母子分離ストレス後に免疫抑制やミクログリア阻害剤を投与し、生後の各ステージのミクログリアをFACS、免疫染色法にて解析する。更に、神経機能についてゴルジ染色法を用いたスパインの計測を行い、スパイン形成の効果をみる。
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Causes of Carryover |
R2年度当初コロナ禍で実験が出来なかった為、消耗品を購入できず繰り越し分が生じた。R3年度において実験用消耗品(シャーレなどのプラスチック用品)を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)