2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスによる胎生期HTLV-1感染モデルの構築と胎盤を介した感染機構の解明
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19K08357
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
野島 清子 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 主任研究官 (60370970)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 母子感染 / ヒト化マウス / クローン解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト化マウスを用いたHTLV-1母子感染・胎盤感染モデルの構築は、免疫不全胎仔マウスのヒト化が難しく困難と考えられていたが、本研究では、妊娠初期のNOGマウスにヒト末梢血を移植して妊娠ヒト化マウスとした後,HTLV-1感染細胞を移植して仔マウスを産ませることで、HTLV-1母子感染モデルの構築し、このモデルを用い、HTLV-1感染細胞が胎盤へ移行するのか、感染細胞が胎盤バリアを突破して胎仔側へ移動するのか、どこで感染が起こり,感染細胞が潜伏するのかなど、感染クローンがどのような動態を示すかを明らかにすることで母子感染機序について明らかにすることを目的としている。 感染した母マウスではHTLV-1ゲノムが検出され、FACS解析により末梢血および肝臓組織にヒトCD4が確認された。感染マウスの仔の末血および肝臓でHTLV-1ゲノムが検出され、CD4細胞は肝臓でのみ検出された。妊娠18日目の感染母マウスの胎盤と胎仔肝臓においてHTLV-1ゲノムおよび感染細胞が確認され、経胎盤感染されていることが示された。妊娠18日目のHTLV-1感染母マウスの胎盤と胎仔肝臓でクローン解析を行い、感染母マウスの末血および胎盤と仔マウスの肝臓において共通クローンの存在が確認され、さらに感染母マウスの末血と母乳においても共通のクローンの存在が確認された。本研究により、経胎盤感染、母乳感染が起こっている可能性が示唆された。ヒト化マウスを用いて母子感染モデルの構築ができ、クローン解析により詳細な感染経路や時期の特定が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の通り、超免疫不全マウスであるNOGマウスを用いて、妊娠初期(10 -14日) にヒトPBMCsを妊娠NOGマウスヘ腹腔移植後し、移植2日後にマイトマイシンC処理 したMT-2細胞を腹腔移植して感染仔マウスを出産させる,母子感染モデルの構築、および妊娠17-18日目に胎仔マウスを取り出し,母体血の混入を抑え,実体顕 微鏡下で羊水,胎盤,胎仔に分けて解析することにより、胎盤中のHTLV-1プロウイルスをPCRで検出する系を構築し、キャリア母マウスの末梢 血、肝臓、感染仔マウスのクローン解析を実施した。再現性を確認する研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
超免疫不全マウスであるNOGマウスを用いて、妊娠初期(10 -14日) にヒトPBMCsを妊娠NOGマウスヘ腹腔移植後し、移植2日後にマイトマイシンC処理 したMT-2細 胞を腹腔移植して感染仔マウスを出産させる系で、構築した母子感染モデルを用いて、妊娠17-18日目に胎仔マウスを取り出し,母体血の混入を抑え,実体顕 微 鏡下で羊水,胎盤,胎仔に分けて解析することにより、胎盤中のHTLV-1プロウイルスをPCRで検出し、これまで得られたデータの再現性を確認する。感染動物実験で得られるキャリア母マウスの末梢血、肝臓等の臓器、感染仔マウス肝臓等の組織を用いたクローン解析についても再現性を確認するデータを取得する。
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Causes of Carryover |
業務集中により再現性確認を実施するための研究を実施することができなかったため、翌年度に費用を残している。
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[Presentation] ヒト化マウスを用いた HTLV-1 母子感染モデルにおける感染クローン解析2022
Author(s)
水上 拓郎, 野島清子, 関洋平, 石井美枝子, 今井恵子, 森内浩幸, 内丸薫, 明里宏文, 蕎麦田理英子, 佐竹正博, 浜口功
Organizer
第8回日本HTLV-1学会