2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K08376
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
鎌田 和浩 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80616350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00305575)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 脳腸相関 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、機能性消化管疾患の代表である過敏性腸症候群における腸内細菌叢の変化と、過敏性腸症候群の動物モデルとして使用されている、母子分離ストレスモデルのラットを使用し、腸内細菌叢の変化を検討した。生後6週より糞便を経時的に3日ごとに10週まで採取し、腸内細菌叢の経時的変化を解析した。母子分離ストレス群とコントロール群の腸内細菌叢の組成は10週の時点で優位に変化していた。しかし、6週の糞便開始時点で既に変化は表れており、6週以後ではいずれの群もあまり経時的変化を認めず、母子分離ストレスにおける腸内細菌叢の変化は6週までに完成されていると考えられた。また、腸管におけるタイトジャンクション蛋白を測定したところ、母子分離ストレスラットにおいて、コントロール群と比し、腸管粘膜においてoccludingやZO-1といったタイトジャンクション蛋白の発現低下を認め、腸管透過性の亢進を示唆する所見であった。また、腸管局所での神経ペプチドの発現や、短鎖脂肪酸の変化についても得られた検体を使用し順次測定を開始している。動物のIBSモデルでは、不安関連行動が顕在化しており、今回使用したモデルでも不安行動の増加が観察された。これらの結果をもとに、それぞれ腸内細菌叢の変化、またどのような菌種の変化とそれぞれIBSの表現型が関連しているのかを検討する予定である。また、拘束モデルに関しても、来年度以降母子分離ストレスモデルとの対比のため、同様の検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の予定であった母子分離ストレスモデルを使用し、腸内細菌叢の経時的な経時的な変化を測定するとともに、腸管組織を採取し、局所でのタイトジャンクション蛋白の測定を施行した。得られた検体を使用し、短鎖脂肪酸や神経ペプチドの発現の検討を順次施行している。来年度以降で、拘束ストレスモデルでの同様の検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、IBS動物モデルにおいて腸管局所の神経伝達物質の変化、腸管内容物における短鎖脂肪酸の変化を測定し、どのような表現型にその変化が関連するか、また、どのような細菌の影響を受けているかを腸管粘膜のDNAマイクロアレイ解析と腸内細菌叢のメタゲノム解析を組み合わせたパスウェイ解析等を用い検討を継続する。また、母子分離ストレスモデルにおいて一定の成果が得られた時点で、別のIBSモデルである拘束ストレスモデルでの検討も並行して開始する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、おもに母子分離ストレスモデルにおける腸内細菌叢の変化と、腸管粘膜透過性についての検討を行った。計画としてはほぼ順調に進んでいる。計上した論文作成費用については、本年度に論文化が未のため次年度に使用予定である。
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Research Products
(8 results)