2021 Fiscal Year Annual Research Report
包括的微生物叢解析による5-ASA抗炎症作用機序の解明と新規IBD治療戦略の探索
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19K08380
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
久松 理一 杏林大学, 医学部, 教授 (60255437)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 5-アミノサリチル酸 / 腸管微生物叢 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)は、比較的安価であり、その忍容性と有効性が長期的に実証されている炎症性腸疾患(IBD)治療薬である。しかし5-ASA製剤の作用機序は明らかではない部分も多い。IBDは全世界的に増加傾向であり、5-ASA製剤の機序を明らかにすることは、医学的のみならず医療経済に貢献する新たな治療選択肢の開発につながる可能性がある。IBDの原因はいまだ明らかではないが、近年、腸管微生物叢(microbiota)の関与が注目されている。そこで、我々は、(1) 5-ASA経口摂取により腸管microbiotaが変化する、(2) 5-ASAにより変化した腸管microbiotaは宿主腸管の防御機構・免疫機構に影響を与える、(3) 5-ASAにより変化した腸管microbiotaは腸炎に対して防御的に作用する、という仮説を検証するため本研究を実施した。本研究では、SPF環境飼育下マウスおよび無菌マウスを用いた16S rRNA amplicon sequencingによる細菌構成解析や免疫学的解析を行った。その結果、5-ASA投与により腸管微生物叢が変化し宿主の腸管免疫・防御機構に影響を与えることが明らかとなり、5-ASAの抗炎症作用機序の1つであることが示唆された。本研究結果は、5-ASAの新たな作用機序、IBD治療に用いるプロバイオティクスの探索につながるものと考えられる。
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