2022 Fiscal Year Annual Research Report
ネオアンチゲンから展開する膵臓癌に対する複合的免疫療法の開発
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19K08391
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳沢 龍 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (80532043)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネオアンチゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓癌は有効な治療法がまだ乏しい予後不良な疾患であるため、膵臓癌に対する免疫療法が新たな治療法として確立することが期待されている。しかし、その手法はまだ確立するには至っていない。近年、患者個々のがん細胞に発生している遺伝子変異に基づいた腫瘍特異的変異抗原(ネオアンチゲン)を応用した新規免疫療法について検討がなされている。一般的には予後不良な膵臓癌ではあるが、一部の症例ではstable diseaseの状態で長期間経過することも経験されている。こうした症例の一部においては腫瘍特異的変異抗原(ネオアンチゲン)に関連した細胞免疫が体内で誘導されていることで、病状の経過に対しても良好な影響を与えている可能性があると考えられる。 これまでの検討において、治療経過良好な臓癌症例の一部において、末梢血中の細胞傷害性T細胞が膵臓癌由来細胞株に対しても免疫学的応答を示すような結果が示されている。また、治療経過が良好であった症例においては特有のアレルゲンに対する感作も確認されており、これらが複合して臨床経過に影響している可能性も考えられた。そこで最終年度においては、これらの患者背景が臨床経過に及ぼす影響についてさらに検討を行った。詳細はまだ解析中であるものの、特定のアレルゲンに対する感作が抗腫瘍免疫の獲得に有利に作用している可能性があると考えられた。今後更にネオアンチゲンに関連する抗腫瘍免疫との関連性について引き続き着目して検討していく予定である。
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