2019 Fiscal Year Research-status Report
DNAミスマッチ修復正常型高頻度変異大腸がんのDNAポリメラーゼ校正機能解析
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19K08392
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
岩泉 守哉 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60444361)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNAポリメラーゼ / 高頻度変異大腸がん / 校正機能評価 / DNAミスマッチ修復機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、POLE-EDMおよびPOLD1-EDMの体細胞変異を保有する大腸がん患者が報告され、興味深いことにこのような変異を呈する大腸がんはDNAミスマッチ修復が正常にもかかわらず高頻度変異を呈することが分かってきた。さらに、POLE/POLD1-EDMの生殖細胞変異も同定され、この場合臨床的には大腸腺腫が数十個程度発生し、大腸がんや子宮内膜がんの発生リスクが高く、遺伝学的には高浸透率な常染色体優性遺伝の形式をとる。この疾患はポリメラーゼ校正関連ポリポーシス(polymerase proofreading-associated polyposis:PPAP)と呼ばれ、体細胞変異の場合と同様、DNAミスマッチ修復正常型かつ高頻度変異のがんである。しかしながら、高頻度変異がんの個別化医療・個別化予防を目指す場合、POLE/POLD-EDM変異大腸がんに関して以下5つの「問い」が浮上する。1)POLE/POLD1-EDM変異大腸がんの臨床病理学的特徴は何か。2)POLE/POLD1-EDM変異大腸がんの遺伝表現型相関はどのようになっているのか。3)POLE/POLD1-EDM変異大腸がんの薬物療法感受性の臨床的特徴は何か。4)POLE/POLD1-EDM変異部位別の校正機能の差はどのようになっているのか。5)POLE/POLD1-EDM変異部位別の薬物療法感受性変化はどのようになっているのか。今年度は、POLD1およびPOLE1の体細胞バリアントおよび病的意義が不明な生殖細胞バリアント(VUS)を認める症例、あるいは家系につき臨床病理学的なアプローチで検討を行った。現在、細胞生物学的な手法を用いてバリアントの意義を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
POLD1・POLEバリアントが認められた症例および家系に対しての遺伝カウンセリング、本研究の説明と同意に時間をかけたため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は解析に適する症例および家系への説明と同意の取得を非継続し、細胞生物学的な手法を用いてバリアントの意義の解析へと進めていく。また、POLD1・POLEバリアントの評価のために大腸菌を用いた解析も並行して行う。今後本研究の成果が診療に応用されることを念頭に置いて、特に症例・家系への本研究の説明は遺伝カウンセリングも介入しながら特に丁寧に行う。
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Causes of Carryover |
新規実験室の立ち上げおよび移転により、実験の進行がやや遅れたために次年度使用額が生じた。
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