2022 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌除菌療法における腸内エコシステム破綻のメカニズムと制御
Project/Area Number |
19K08395
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡田 裕之 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (60263563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 和義 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20626593)
横田 憲治 岡山大学, 保健学域, 教授 (00243460)
松下 治 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00209537)
田中 健大 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (70549857)
岡上 昇太郎 岡山大学, 大学病院, 医員 (20839716)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 除菌 / 腸内細菌叢 / ディスバイオシス / アルファ多様性分析 / 青少年 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】胃癌発症予防を目的としたヘリコバクター・ピロリ菌除菌において、15-20歳の青少年期でより効果が期待できるが、同世代のピロリ菌感染者における腸内細菌叢および除菌による腸内細菌叢への影響については未知の部分が多い。今回、大学新入生におけるピロリ菌感染者の糞便を採取し、ピロリ菌除菌前後の腸内細菌叢の変化を検討した。 【対象と方法】2020年から2021年度の岡山大学医学部、薬学部、歯学部の新入生のうち、ピロリ菌陽性と診断され、除菌治療をうけた10名(男性5名,女性5名)、平均年齢19.8歳(18-24)を対象とした。ピロリ菌除菌前、除菌1-2週間後、除菌後2か月後の糞便を採取し、糞便細菌菌叢解析(菌種多様性解析)を行った。 【結果】ピロリ菌除菌前後でFirmicutesの相対的豊富度に変化は認めなかった。除菌1-2週間後 Proteobacteriaの菌量は5名において増加していたが、2ケ月後には除菌前の状態に戻っており、ディスバイオシスは認めなかった。またクレブシエラ属は治療後に優位な増加を認めたが、治療2か月後には治療前のレベルに改善認めた。 アルファ多様性分析により、腸内細菌叢の種の豊富さと均一性の両方が、除菌直後は一時的に減少するが、除菌2か月後に治療前のレベルにおおむね回復した。 【結語】ピロリ菌感染のある若年者では、ピロリ除菌療法により、短期間で腸内細菌叢の変化を生じたが、2か月で回復する傾向がありディスバイオシスは認めなかった。
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Research Products
(1 results)