2021 Fiscal Year Annual Research Report
オレキシンを中心とした内臓知覚過敏の中枢機構解明とその過敏性腸症候群治療への応用
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19K08410
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
奥村 利勝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60281903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高草木 薫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10206732)
野津 司 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30312367)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グレリン / オレキシン / オキシトシン / 脳 / 内臓知覚 / ラット / オピオイド / ドパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットを用いてグレリンを脳室内に投与し直腸伸展刺激による内臓痛覚に及ぼす影響を検討した.内臓知覚の評価は我々の既報に従って評価した。グレリンの末梢投与は内臓知覚に影響を与えなかったが,大槽内投与は容量依存性に内臓知覚閾値を上昇させた.このグレリンの内臓知覚鈍麻作用は,ドパミンD2受容体拮抗薬スルピリド,選択的オピオイド受容体拮抗薬Naloxone hydrochlorideの前処置により消失した.さらに,グレリンの脳室内投与前にオレキシン1受容体拮抗薬SB334867の脳室内投与を行ったところ,グレリンの内臓知覚鈍麻作用が消失した.以上より,グレリンは中枢神経系に作用して内臓知覚鈍麻作用を有すること、更に,このグレリンによる内臓知覚鈍麻作用に脳内オピオイド,ドパミンD2やオレキシンシグナルが重要な役割を果たしていることが示唆された. オキシトシンの脳室内投与は容量依存性に内臓知覚閾値を上昇させた。このオキシトシンによる内臓知覚鈍麻作用は、中枢移行性のnaloxonによってブロックされたが中枢移行性のないnaloxon methiodideによってはブロックされず、中枢のオピオイド系を介して内臓知覚鈍麻作用を有することが明らかにできた。脳室内オレキシンやグレリン投与による内臓知覚鈍麻作用に及ぼすオキシトシン受容体拮抗剤の影響を検討した。オキシトシン受容体拮抗剤の脳室内投与はオレキシンによる内臓知覚鈍麻作用をブロックしたが、グレリンによる作用には影響を及ぼさなかった。すなわち、オレキシンによる内臓知覚鈍麻作用は中枢のオキシトシン シグナルを利用して内臓知覚鈍麻作用を発揮することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)